「エアリーフィードバッククラウドは、音声解析により、1on1を理想的な状態に近づけるサービスです。例えば、上司の発話が8割を占めていると、一方的な対話だと判断します。さらに、対話中の落ち着き、怒り、喜び、悲しみといった感情もグラフ化されるので、相手がどんな気持ちなのかを客観的に把握することが可能です。共感性、傾聴力、安心度といった要素を分析し、心理的安全性スコアも知ることができます。このスコアから相手との対話が成立しており部下育成に寄与できる1on1を実施できているのかを客観的に知ることができます」
大手からベンチャーまで、バブル状態でも正しく運用で成果に
コロナ禍の今、このシステムを導入する企業は増えている。
大手機械メーカーでは、以前から1on1を実施しているが、部下の評判が悪く上司も面倒臭がって積極的に行っていない状態だった。
「どこに原因があるのか知りたいと相談されました。他社のシステムも検討した結果、客観的な解析できるとの理由で当社を選んでいただきました。導入後、音声データを解析したところ、何も話さない上司が多く、相槌を打つだけというケースが目立ったのです。また、怒りの感情が高く出ているケースもありました。まずは一人ひとりの上司の状況に合わせて意識するべき点や課題を抽出し、改善していくことを提案しました」
また、コンサルティング会社では、1on1を導入したものの、あまり活用されないままになっていた。仕事柄、上司が部下を論破してしまうケースが多く、次第にミーティング自体が形骸化してしまった。
「こちらの企業には、対話の最後に10分間の振り返り時間を設けることを提案しました。対話を可視化したグラフを見ながら、少しずつ振り返りの習慣をつけていく。こういう共同作業により、改善につながっていきました」
さらに、設立間もないITベンチャー企業でも活用されている。
「社員15名のスタートアップですので、退職者が出てしまうと業務に大きな支障が出てしまいます。そこで1on1ミーティングを始めたいと相談を受けました。技術職の場合、優秀なプレーヤーが管理職になるケースが多いのですが、十分なマネジメントができずに組織づくりに悩むといったケースも見受けられます。そのため、管理職への研修なども含めて全面的なサポートを行っています」
EDGE社は、システムを提供するだけではなく、導入後も研修やコンサルティングを頻繁に行い、企業に寄り添った支援をするのが、特長となっている。
「1on1のサポートに限らずHRテックを導入する企業が急速に増え、今やバブル状態になっていると感じています。その結果、成果につながらない使い方や必ずしも社員が幸せにならない使い方が続出しています。しかし、ポイントを押さえ正しく運用すれば人事戦略を企業の経営戦略にまでつなげることができる、高い可能性を秘めているのです」(吉田由紀子/5時から作家塾(R))