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中国「ロゴ至上主義」の終焉 加速するラグジュアリーの新しい意味探し (2/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 昨年、ウェビナーでスイスのある高級時計の米国法人社長が次のような発言をしていた。

 「ファッションのカジュアル化とともにロゴを誇示することが少なくなった。しかし、時計だけは誇示したいという人が一定数いる。それが米国市場の特徴といえる」

 パンデミックになる前の2019年の数字で、ハイブランドの時計、アクセサリー、アパレルの世界市場はおよそ30兆円だった。そして中国人市場、つまり中国本土と海外渡航先でのハイブランド商品の購入は世界市場のおよそ30%であるとカウントされていた。この中国人比率は年々、さらに上昇していくと予測されてきた。その中国人市場の特徴がロゴ重視である。

 即ち、「目立つ」を避ける地域においても時計のように目立つことに拘るモノがある一方、「目立つ」が優先される地域があり、その筆頭が中国である。

 そして、冒頭に述べた中国政府の方針の変更によって、「目立つ」がしづらくなるわけだ。すると何が起こるか?

 世界の30兆円市場の7割はヨーロッパ発である。これらの企業は自らの市場の変化に対応してラグジュアリーの新しい意味の探求をしながらも、ロゴ重視の中国市場の意向に沿うよう二刀流をとってきた。だが、これから後者の位置が相対的に下がる可能性があるのだ。

 一方、これまであった中国のローカル文化に基づく独自のラグジュアリー開発もより強まるだろう。

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