世界市場にアピールできる希少なコンテンツ
その視点で見ると、これほど役に立つ大会はないのです。大会のグローバルなメジャー感は格別で、ついこの間まで良くも悪くも成功したベンチャー企業と見なされてきたZOZOも、これほどの大会を提供できるほどの余力という与信効果は計り知れないものがあります。
広告・プロモーション全般を企業が行う際の狙いには、エンドユーザー、BtoCへの販促効果、ブランドアップ以上に、クライアント企業や関係者、社員向け、時には銀行、株式市場などBtoBでの効果に重きを置くケースが程度の差こそあれほとんどなのです。
その点、ゴルフというスポーツは国内外問わずビジネスと相性の良い競技とされており、実際に仕事と混然一体の興味、価値観でゴルフに対して非常に関与度が高いビジネスパーソンも多いことを考えれば、その効果は十分期待できると言えるのです。
特に、世界最高峰PGAツアー大会の冠協賛ともなれば外資系ブランドなど本国経営陣やスタッフへのアピールにもなる希少なコンテンツとなりなす。実際に今回サブスポンサー(オフィシャルパートナー)にポロラルフローレンの名もありました。さらに、海外展開まで視野に入れれば、国外の生活者に対しても非常に良いアピールになることは間違いありません。
費用対効果を計算することが非常に難しいのがスポーツ協賛です。と言うより、費用対効果はいかようにも科学的根拠をもって計算できるのですがメディア露出の量的な部分や接触の様態、何より最後は人の心に与えるインパクトまで考えればパラメーターが多く、やはり最後はその試算をそれなりの知見、見識をもった決定権者が総合的に評価しなければどうにも判断などできないものなのです。
減点主義で考えれば、どうやってもツッコミどころ満載で、現に経営者が変わり、担当者が変わる中、長年のスポーツ協賛継続を説得するため関係者がどれだけ冷や汗をかいているか知れたものではありません。
世界的なゴルフ大会を見ても、過去には渋野日向子選手優勝の直前に、女子メジャー「全英女子オープン」からリコーが去り、これはやむを得ないことだとは思いますがLPGA女子メジャー「ANAインスピレーション」の冠呼称の終了(協賛自体は継続)が発表もされました。(関連記事『渋野日向子も着ている! ビームスがゴルフを楽しくする』)
近年、日本が誇る製造業各社グローバルでの競争力低下が指摘されますが、そもそもサービス業での世界市場成功事例が極めて少ない日本産業界です。ZOZOには、常識を覆すスポンサーシップの心意気で、ぜひ世界的に認知されるブランドとしてさらに大きなビジネス上の飛躍を期待したいと思います。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら