働き方ラボ

20代で絶対にやるべき7つのこと 倍速で躍進する若者に届けたい「生き抜く力」 (2/2ページ)

常見陽平
常見陽平

現在と未来の「自分」と向き合う

5. ハードニュース、書籍にふれる

 この連載を読んでいる人には釈迦に説法だが、ハードニュース(政治・経済に関するニュース)や書籍にふれることは、ビジネスパーソンとして必須である。ビジネスをする上でも、これらはマストである。

 ここでは特に書籍を読む意味について考えたい。私は「お前は頭でっかちだ」とよく説教され、そんな自分を壊し、作り直すためにも目の前の仕事に没頭した。これはこれで成長につながった。

 一方、20代後半になると、その繰り返しで自分自身がすり減っていると感じるようになった。何かが足りない。その頃から、趣味の読書ではなくビジネスのための読書を大切にすることにした。いわゆる自己啓発本や、できる人になるための本ではない(そういう本を読んでいた時期もあったが)。マネジメントやマーケティング理論の本、さらにはさまざまな企業の成功事例・失敗事例をまとめた本などは、自分の目の前にある仕事を見つめ直す上でも、ヒントを得る上でも有益であった。

 本を読むという行為は、別に情報を得るためのものではない。本の中の情報と向き合うことによる思考、思索が大事なのである。頭が活性化され、モノの見方が変わるのだ。

6. 「自分の幸せ」の因数分解をする

 いきなりプライベートも含めた話に飛ぶ。今の幸福度は何点だろう。100点満点に何点足りないのか、その理由は何かも考えたい。

 さらに満点ではないにしろ、その点数は何によって成り立っているか。この因数分解こそ重要だ。実は職場の人間関係や、プライベートにおいては、家族が健康であること、一緒に住んでいること、現状の家族構成によって補いあっていることなどによって、あなたの幸せは成り立っている。

 何かと変化を求めがちだが、今どれくらい幸せか、さらにそれは何によって成り立っているか。その確認はしておくべきだろう。

7. 自分、周りの人の年齢にプラス5、10をして未来予測をする

 「10年後、どうなっていたいと思う?」。新卒採用の面接でよく聞かれる質問だ。私が学生のときは「この人は10年後、この会社にいないだろう」「お前の10年後こそ、考えろ」と思いつつ、それなりに真面目に答えたものだった。

 とはいえ、この質問は自分自身の将来を具体的に考えるには有効である。あれをやりたい、これをやりたいというものがあるものの、その前にまず極めて現実的なことを考えたい。10年後、あなたの仕事とプライベートはどうなっているか。さまざまな夢を語る前に、自分と周りにいる人、たとえば職場の上司や同僚、家族、友人、恋人などにプラス5、10をしてみよう。当たり前だが、それぞれ5年、10年と歳をとる。上司は退職や異動をする可能性も高い。親の介護が始まる時期もなんとなくわかる。友人たちも家庭を持ち、入れ替わる。自分自身、いつ結婚するのか、子供を作るのかということをより具体的に考えることができる。

 このように、たまに立ち止まって現実的な未来予測をすることは大切だ。就活のときに疑問を感じた質問も、自分自身に問いかけると案外、機能するのである。

 冒頭に書いたように、今の若者と接しているとこのような説教とは無縁で、人生をハッキングして楽しんでいる人をよく見かける。下積みなどナシでいきなり、倍速で自分の夢を叶えている人もいる。とはいえ、人生を生き抜くための体力、戦闘力づくりは大事だ。この説教自体、古いと認識しつつも、私はヒール役を担ってでも、こう言い続けるのである。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら。その他、YouTubeチャンネル「常見陽平」も随時更新中。

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