ミラノの創作系男子たち

「イタリアって…」伊滞在30年以上、デザイナー・椎名香織さんの一言に共感~女子編 (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 記憶を辿るのは楽しい。これまで歩んできた道のりを思い起こし、今の自分のありようがどのような動機や経緯からきているのか、それを頭のなかで反芻する。新たな自分の発見もある。

 椎名香織さんがソーシャルメディアnoteに書いているシリーズ「Memories of Italy-イタリアの想い出」を読んだ。椎名さんは文章を書くのが心底好きに違いない。静かに水がさらさらと流れるかのように、言葉のひとつひとつが流れていく。いや、正確に表現すれば、心のなかに流れ込んでくる。 

 椎名さんはおよそ30年、ミラノでデザイナーとして活動してきた。

 昨年からのパンデミック中、これまでの人生や仕事を振り返る。もろ手をあげて受け入れ、育ててくれたイタリアのために何かできないか? こう、彼女は考える。思い浮かべたのは数々のモノだ。彼女が生活のなかで出逢ったイタリアの職人が手で作ったモノである。

「あれを作る人たちを応援したいと思ったのですよ」と椎名さんは声に力をこめる。

 モノをみると、あの時の情景がまざまざと迫りくる。あの時のエピソードには、あのモノとの出逢いがあった。

 椎名さんは、イタリアにおける自らの想い出を綴りながら、そのシーンに登場するモノを販売するECサイトを最近たちあげた。 

 彼女がメインでやっている「Hands on Design」も日伊の職人と国境を超えたデザイナーのコラボレーションで、現代の生活に合う手作りのモノを開発、生産、販売している。

 一方、「Memories of Italy」で扱うモノはデザイナーという職業の人が関与していそうもないものばかりだ。昔からある美しいふつうの日用品だ。それをデザイナーである椎名さんが、自らの想い出に紐付けて売るのだ。

 面白いじゃない!

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