【ブロックチェーン革命の胎動】ブロックチェーンは“人間の仕事”にどんな変化をもたらすのか (3/3ページ)

基調講演した野口悠紀雄氏
基調講演した野口悠紀雄氏【拡大】

  • 講演中のマッカーシー氏
  • 会場の様子
  • グループセッションの様子

 他にも、薬の服用履歴や、既往症、アレルギーなど医療に必要な情報を記載する“お薬手帳”のようなものをブロックチェーン技術で管理すれば、旅行中の急病やけがなどの際にも適切に医療が受けられるようになる、といった用途を例示。

 「ブロックチェーンは安全、安心な経済社会を切り開くと期待できる」との考えを示した。また、現行の仮想通貨についても触れ、「まだまだ資産としての価値は低いが、今後5年で大きく変わるはずだ」と述べた。

 具体的な利活用に構想いろいろ

 第三部では、アジアの会の馬場正信代表がモデレーターとなり、フィンテック企業であるアドバサの久保田俊輔代表取締役や小型家電リサイクルなどを手掛けるリネットジャパングループの黒田武志社長らを招いたグループセッションが行われた。

 この中で、アドバサの久保田代表取締役は自社で展開する「給与相当額随時払いシステム」を紹介するとともに、「キャッシュレス化やグローバル化は今後ますます進展する。これに伴いコンピューターシステムの処理量は増大することになるが、どう対応するのかは大きな課題だ」と警鐘をならした。

 一方、リネットジャパンの黒田社長は自社事業の説明のほかカンボジアでの展開に言及。

 「カンボジアでは日本のような自動車の登録制度などが未整備だが、同国の死亡原因のトップが交通事故だという現状を考えると自動車関連のインフラ整備が必要となる。リネットでは、日本の仕組みとブロックチェーン技術を取り入れたカンボジア向けの管理インフラを構築し、同国に貢献したい」との考えを示した。

 モデレーターを務めた馬場氏は、第一部で基調講演した野口悠紀雄氏の指摘に触れ「ブロックチェーンの登場でネットビジネスの大企業にとって有利な状況は変わる。企業規模の大小にかかわらず、デジタル時代の次世代ビジネスに挑戦していきたい」と述べ、セミナーを締めくくった。

 一連のセミナーは、東京都中央区の会議室を会場に入場無料で開催され、総勢80人が講師の話に熱心に聞き入った。