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出版業界「体験コンテンツ元年」に 講談社、KADOKAWAが新設備整備 (1/2ページ)

 昨今、体験型の“コト消費”重視の潮流を受け、出版業界も“体験コンテンツ”の提供に力を入れ始めている。特に注目すべきは、今年オープンを予定している、講談社の「ミクサライブ東京」と、KADOKAWAの「ところざわサクラタウン」。両施設とも現在はハードの整備を進めつつ、ソフトの充実を図ろうと多種多様なアイデアが検討されている。令和2年は出版業界の「体験コンテンツ元年」となるか。(加藤聖子)

 臨機応変に“実験”

 講談社は3月19日、東京都豊島区の池袋駅からほど近い場所に「ミクサライブ東京」をオープン予定だ。もともと、池袋で親しまれてきた映画館「シネマサンシャイン池袋」のビルを大規模修繕。音楽ライブや演劇などが可能な4つのホールと、ショップ、カフェを備える施設に生まれ変わらせる。同社ライツ・メディアビジネス局事業開発部長の松下卓也さんは「出版社では、小説や漫画のヒット作が映像化されるという二次展開がおなじみになっているが、今は“コト消費”の時代。二次展開の他の形として、ライブ化、体験化も求められている。ミクサライブはその拠点として活用していきたい」と意義を説明する。

 4つのホールの収容人数はそれぞれ140~400人規模と大きくはないが、「施設の目的の一つは、新たなコンテンツをいろいろと試して実験していくこと」(松下さん)。実験しやすいこの規模は、むしろ武器と捉えているようだ。

 同施設は、講談社が全体の統括、プロデュースを行いながら、パートナー企業であるキングレコード、テレビ東京、ネルケプランニング、ブシロード、ムービック、UUUMの6社もそれぞれの持つコンテンツを展開。講談社のコンテンツとの連携も随時図られることになる。

 松下さんは「ビル全体を雑誌のような一つのメディアと考えている。音楽ライブや演劇、トークショーはもちろん、朝活や子供向け体験学習、プロレス、メーク講座などアイデアはいろいろ。講談社の枠にとらわれず“ライブ”や“コト体験”の創出に挑戦していきたい」と意気込む。

 ポップカルチャー

 KADOKAWAが埼玉県所沢市に建設中の「ところざわサクラタウン」は、7月17日のオープンに向けて準備が進む。所沢と聞くと、意外な感もあるが、もともと旧所沢浄化センター跡地を有効活用してもらいたかった市と、新たな社の拠点探しに加え、コトビジネス分野の強化を目指していた同社の思惑が一致。KADOKAWAが運営を行いながら、コンテンツ創造力を、まちづくりに活用するという。レクリエーション事業局渉外部長の森好正さんは「目指すのは地域との“共生”。幸い、市や地元の方はとても協力的で、開業を応援してくださっている。所沢に根付いて新しい文化を発信していきたい」と熱意を口にする。

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