米、年内の利上げ見送り 資産縮小も9月に終了、景気配慮鮮明に

記者会見するFRBのパウエル議長=20日、米ワシントン(共同)
記者会見するFRBのパウエル議長=20日、米ワシントン(共同)【拡大】

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は20日、2019年の利上げの想定回数をゼロに引き下げ、年内利上げを見送る方針を示した。昨年12月時点の想定は2回だった。パウエル議長は、中国や欧州の景気減速を引き金とした世界経済の成長鈍化が「米国への逆風になり得る」と説明し、景気の動向を「忍耐強く様子見する」姿勢を強調した。

 同日の連邦公開市場委員会(FOMC)は、主要政策金利を年2・25~2・50%に据え置いた。金融引き締めの効果がある保有資産の縮小については、縮小ペースを緩めることも決め、景気の減速懸念に配慮する立場を明確に打ち出した。

 FOMC後の声明では、現状の景気判断を「拡大が鈍化した」とし、1月時点の「堅調に拡大」から下方修正した。個人消費や設備投資の景気判断も引き下げた。

 会合後に公表した経済見通しは、20年に金利を1回引き上げ、利上げを打ち止めにする想定を示した。19年の実質経済成長率を2・1%とし、前回12月の2・3%から引き下げた。20年を1・9%として前回の2・0%から下方修正。21年は1・8%で据え置いた。

 FRBは金融危機への対応策として購入した国債などの保有資産について、資産を縮小させるペースを5月から緩め、9月末に一部資産の縮小を終了させる。

 パウエル議長は1月、段階的に金利を引き上げる政策の一時停止を示唆。この日の会見でも「忍耐強く」金利政策を判断する立場を改めて鮮明にした。