シラスウナギ、「生産流通履歴」の確保急務


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 稚魚のシラスウナギは、国内産についても業者が養殖池に入れる量が報告済みの漁獲量に比べて不自然に多く、国内外での違法、無報告漁業の存在が指摘されているが、実態はよく分かっていない。ニホンウナギは絶滅危惧種で、稚魚から製品までのトレーサビリティー(生産流通履歴)を確保することが急務だ。

 シラスウナギは漁獲量が減って価格が高騰しており、密漁などの横行を招いている。

 いつ、どこで、誰がどうやって漁獲したのかが分からなければ、ウナギの数がどう変化しているのかを知ることができない。ウナギを絶滅させないように漁業枠を定めることも難しくなる。

 シラスウナギ漁は国内外の各地で広く行われている。複数の場所で漁獲されたものを一つの養殖池で混ぜることも多く、流通経路は非常に複雑だ。水産庁も実態調査などを始める方針だが、取り組みは遅れ、違法漁業や無報告漁業に対して、後手に回り続けてきた。

 ニホンウナギをワシントン条約の規制対象種にして、輸出入時の許可証発行を義務付けるといった強制力のある仕組みで悪質業者に対応するしかないとの意見が強い。