世界経済減速懸念 さらなる歳出拡大圧力も

 平成31年度当初予算には消費税増税に備えた2兆円規模の経済対策が盛り込まれたが、足元では世界経済の減速懸念という新たな不安材料も膨らんでいる。増税による景気の腰折れを防ぐため、「やりすぎ」(エコノミスト)と指摘されるほど潤沢に組まれた予算にも、今後の動向によっては更なる歳出拡大圧力がかかる可能性がある。

 安倍晋三政権が消費税増税対策を2兆円規模にまで手厚くしたのは、26年に税率を8%に増税した際、景気が落ち込んだ反省からだ。しかし、昨年末の予算案策定時はまだ見えなかった米中貿易摩擦の影響が、足元では顕在化し始めている。今後、世界経済が減速して国内にも影響が及ぶようだと、追加対策を求める声が高まりかねない。

 政府は次年度の予算でも、消費税増税対策を盛り込む方針。2020年東京五輪・パラリンピック後の景気減速を懸念する声も根強く、歳出拡大への圧力は当面続きそうだ。ほかにも高齢化に伴う社会保障費の増加という構造的な問題も大きく、財政健全化への道は険しさを増している。