フィリピン、「火種の島」で観光開発計画 実効支配強化へ平和的発信 (1/2ページ)

フィリピンが実効支配するパグアサ島=2011年7月(フィリピン外国特派員協会代表撮影)
フィリピンが実効支配するパグアサ島=2011年7月(フィリピン外国特派員協会代表撮影)【拡大】

 南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島にあり、フィリピンが実効支配するパグアサ(同ティトゥ)島で、観光開発の計画が進んでいる。周辺国との領有権争いの最前線で、近海は中国の軍艦が航行する「火種の島」。実効支配を強固にしたい思惑の裏には、大規模な軍事施設を造る余裕がない懐事情ものぞく。

中国軍が監視

 パグアサ島はフィリピン西部パラワン島の北西約450キロに位置し、行政上はカラヤアン町に属している。ただ、町の実質的な行政機能はパラワン島のプエルトプリンセサにあり、「遠隔統治」しているのが現状だ。

 「パグアサ島自体は平和そのもの」。両島を行ったり来たりしているデルムンド町長はこう前置きした上で「周辺海域では中国海軍と海警局が、フィリピン人の行動を監視している」と続けた。

 南沙諸島はフィリピンや中国など6カ国・地域の領有権主張が入り乱れ、一帯は軍事衝突の恐れもある。中国は岩礁を埋め立てて軍事拠点化を進めており、きなくささが増している。

 デルムンド氏によると、パグアサ島は面積約32ヘクタール。徒歩で1周しても1時間かからない程度という。100人以上いる一般住民の大半は町職員やその家族で、うち子供が約40人。ほかに軍や警察、沿岸警備隊の要員も常駐するが「人数は明かせない」としている。

 町所有の船3隻や海軍の艦艇で、パラワン島から2、3日かけて食料や生活用品を運び、住民の暮らしを支える。小学校や診療所、発電所などの施設はあるが、携帯電話の電波は届かず、島民同士の連絡は無線を使う。

軍事施設建設は困難