視点

日韓対立、激化に乗じ…日本を傷つける不可思議な「自由貿易論」 (2/3ページ)

 詰まるところ、先の大戦を反省しない安倍政権が、経済によって再び韓国を侵略してきたというのが、韓国メディアの描く「ストーリー」なのだろう。これは当の日本政府だけでなく、ほとんどの日本人にとっても荒唐無稽な「被害妄想」にしか見えないのではないだろうか。

 韓国は「徴用工」訴訟はもちろん、慰安婦合意でも国と国との約束を一方的に反故(ほご)にした。自衛隊機に対する火器管制レーダー照射の問題もある。国際社会に対し日本を不当におとしめる情報戦もやめない。反日なら何でも許されるとばかりに、暴挙を繰り返してきたのは韓国側なのである。

 日本が輸出管理上の対韓優遇をやめた直接的理由は、韓国の体制に不備があり、それを改める協議にも応じようとしなかったことなどだ。文在寅政権への信頼が失墜する中では事態打開も期待できず、国際社会で当たり前の厳格運用を行うほかない。それが今回の措置なのだが、日本の対韓不信が理解されない以上、日本が一方的に仕掛ける「経済戦争」とみなす見方が韓国内に出るのも、むべなるかなである。

 ただ、これを韓国の無理解のせいだけにするのも、どうかと思う。むしろ、日本メディアの報道が韓国の反発を勢いづかせた面はなかったか。少なくとも日本の多くのメディアが、今回の措置について自由貿易をゆがめる禁じ手とでもいうように報じたことは指摘しておかなければならない。

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