米中首脳、気候変動など協調模索も成果乏しく

    【ワシントン=塩原永久】米中首脳は15日(日本時間16日)のオンライン会談で、気候変動問題や公衆衛生対策といった地球規模の課題で協力する必要性を確認した。米中は国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、地球温暖化対策の共同宣言を発表。会談でも「両国の利害が交わる課題」として議題に上がった。ただ、トップの直談判でも大きな進展はなかったもようで、対立緩和を探る外交努力の難しさを浮き彫りにした。

    15日、ワシントンのホワイトハウスで、中国の習近平国家主席とオンラインで会談するバイデン大統領(ロイター=共同)
    15日、ワシントンのホワイトハウスで、中国の習近平国家主席とオンラインで会談するバイデン大統領(ロイター=共同)

    バイデン米大統領は会談冒頭、「気候変動のようなグローバル課題では協力する必要がある」と述べた。

    13日閉幕したCOP26では、米中政府が共同宣言をまとめ、気候変動対策で2020年代に行動を加速させると表明。バイデン氏も世界最大の温室効果ガス排出国である中国に、踏み込んだ排出削減目標を掲げるよう重ねて求めていた。

    だが、米政府が首脳会談後に発表した声明は、温暖化防止へ「米中が担う役割の重要性」を話し合ったとの説明にとどまり、米政権の中国側への働きかけは不発に終わったとみられる。

    一方、新型コロナウイルスに続く新たな世界的感染症の流行防止では米中が連携を確認。会談で「進展があったポイントになった」(米政府高官)という。

    今回の会談はバイデン政権の「外交重視」の表れといえる。トランプ前米政権で米中の発火点だった貿易やハイテク問題でも、バイデン政権は、まずは交渉ベースで中国に是正を要求。対中協議を再開させ、一方的な制裁関税の発動を多用したトランプ政権と一線を画している。

    バイデン政権が一方的な強硬策に代わって重視するのが、同盟・友好国と連携した対中包囲網の強化だ。

    産業基盤から軍事技術まで次世代競争力の鍵を握る半導体をめぐっては、最先端技術を持つ台湾との関係を強化。戦略物資の供給網(サプライチェーン)を日韓を含む「自由経済・民主主義陣営」と一体化させていく動きもみせている。会談でバイデン氏は「米労働者と産業を中国の不公正貿易から守る」と指摘。同盟・友好国と自由で公正な国際秩序を築くと強調した。

    米中両首脳がオンラインで初めて顔を合わせた今回の会談は、両国が連携分野を模索し、摩擦軽減に結び付ける「大国間競争」時代の外交努力の行方を占うものだった。だが、中国政府は、台湾など内政問題とみる分野での譲歩拒否を貫き、歩み寄りに向けた直接対話の限界も露呈した格好となった。


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