ANAやJALの旅行積立は、国内線、国際線の航空券の購入に当たられるほか、それぞれの系列会社が扱うパッケージツアー、系列のホテル代、レンタカー代、機内販売の代金などにも使えます。毎年、お盆の時期や年末に帰省するなど、飛行機を利用する時期が決まっている方は、航空券を購入するより前の時期を満期にして、航空会社の旅行積立をおこなうと有利です。年末年始のように、満席になる便も多いケースでは、旅行券の満期時期を、航空券の発売時期に合わせて設定するようにしましょう。
JTBの旅行積立
→パッケージツアーを利用するなら旅行会社の旅行積立が便利
大手旅行会社の旅行積立として、JTBの「たびたびバンク」をご紹介します。たびたびバンクには、満期額を決めて払い込む「定期積立プラン」と「フリー積立プラン」の2コースがあります。定期積立プランは、前述のANAやJALの旅行積立と同じような仕組みですが、フリープランは積立ての途中で引き出して旅行代として使えたり、積立額の変更なども可能です。
定期積立プランは、12カ月から60カ月まで、1カ月単位で積立回数を決められます。たとえば、17カ月や29カ月といった積み立てもできるので、旅行費用が必要な時期に合わせた積み立てがしやすくなっています。フリープランは、積立期間を定めずに積み立てるほか、6カ月から60カ月までの期間の中で、期間を定めて積み立てていくプランがあります。
たびたびバンクの利率は、定期積立プランで1.75%、フリープランで0.8%になっています。航空会社の旅行積立に比べて利率面では低くなっていますが、JTBの店舗で扱う国内ツアーや海外ツアー、ホテル代、旅館の宿泊代、宿泊を伴う航空券代や新幹線代などと使途は広く、使いやすいのが特徴です。またたびたびバンクの場合は、旅行券ではなく、たびたびバンク専用のカードが発行され、そのカードを使って支払います。たびたびバンクの残高は、ネットでも確認できるほか、ツアー代金やホテル代などとして使った時は、はがきで残高が通知されます。
旅行券や残高には有効期限がある 「早めに使う」がキホン
旅行積立で受け取った旅行券には、有効期限が設定されています。ANAの場合は5年後を迎える年の年度末、JALの場合は10年後を迎える年の年度末です。たとえば、2021年12月にANAの満期旅行券を受け取った場合、2027年3月に有効期限がおとずれます。JALの場合は、同じく2021年12月に受け取った満期旅行券の有効期限は、2032年3月におとずれます。
なおANAには、旅行積立が満期を迎える前であっても予約ができる「満期旅行予約サービス」の制度があります。満期を迎えた後に出発する旅行であれば、満期前に予約ができ、満期を迎えた旅行券をそのまま旅行代金に充てられるサービスです。
JTBのたびたびバンクの残高の有効期限は、定期積立プランは満期から10年後、フリープランは積立の満期時から10年後となっており、さらに利用すると有効期限が10年間延長されます。
「5年後や10年後なら、使うのに問題ないだろう」と思っていても、万が一、コロナウイルスのような予期せぬ出来事によって海外渡航が難しくなると、予定が崩れる可能性があります。今回のコロナウイルスによって、満期を延長するなどの特例措置が講じられたケースはあるものの、旅行券は有効期限ぎりぎりではなく、満期を迎えたらなるべく早く、利用することをおすすめします。
筆者の旅行積立「活用術」
▼満期額を設定する前に行きたい場所の航空券代を調べる
個人的な経験談になりますが、私は今回ご紹介した3社の旅行積立を利用しています。3社とも10年以上、旅行積立を利用しており、ANAの旅行積立はヨーロッパ便の予約に、JALの旅行積立はアメリカ便の予約に使う機会が多くなっています。積み立てを始める前に、行きたい場所の航空券代を調べたうえで、満期額を設定しています。
▼ネットで予約し、支払いは旅行券を郵送
旅行券を使うときの注意点として、ネットで航空券の予約をしても、そのままネットでは決済はできないことを知っておく必要があります。空港のカウンターなど、出向けば支払える場所はいくつか設けられていますが、航空券代の支払いのためだけに空港に行くのは現実的ではないはずです。旅行券を郵送するのが、一般的な決済法といえるでしょう。