個人ができる10の対策
とはいえ、金融所得課税について決めるのは国会です。この流れが止められるかどうかは分かりません。そこで、増税になった場合の対処法を、10個提案します。
(1)NISA、つみたてNISA、iDeCoの活用
税制優遇される制度を積極的に活用しましょう。少額投資非課税制度「NISA」や「つみたてNISA」は完全に非課税です。個人型確定拠出年金「iDeCo」も税負担が軽減されます。増税への対処手段として有力です。
(2)配当控除を受ける
日本株の配当金は、企業が法人税を課されたあとに株主に支払われ、さらに株主には所得税及び住民税が課されることから二重課税になっています。配当控除とは、これを軽減する制度で、確定申告することで所得に応じて税還付されます。不動産投資信託「Jリート」や外国株には適用されません。従いまして、税制面だけで考えますと、Jリートや外国株から配当金を得ている場合は、日本株に比べて、不利になります。ただし、令和4年度税制改正大綱にて、令和6年より、関連する節税制度が改悪となる旨明記されています。
※配当控除について詳細は、私のブログで解説しています。
※配当控除と関連制度の改悪についても、私のブログで解説しています。
(3)日本株に乗り換え
前述の通り、「Jリート」や外国株には配当控除が適用になりません。配当金を目当てに投資している場合は、株価成長や株主還元など総合的に判断する必要はありますが、Jリートや外国株から日本株への乗り換えも一案なのかもしれません。ただし、上述の通り、令和4年度税制改正大綱にて、令和6年より、配当控除に関連する節税制度が改悪となる旨明記されています。そこを慎重に見極める必要があります。
(4)成長株に乗り換え
高配当株から無配成長株へ乗り換えますと、株価成長に特化できます。配当金が支払われる度に、課税されることがなくなります。
(5)配当利回りがより高い銘柄に乗り換え
配当金を目当てに投資している場合、税率が30%に上がるのであれば、より配当利回りの高い銘柄に乗り換えることで、手取り配当金の目減りが防げます。もしくは、連続増配株も良いでしょう。
(6)投資額拡大
投資額を拡大することで配当金は増やせます。最も単純な方法です。ただし、リスク許容度や資産額を鑑みて行動する必要が有ります。私が取る方法はこれです。ポートフォリオの外国株比率が低くないことから、増税されますと手取り配当金が減額になりますから、投資額を増やすことで対処します。配当控除と関連制度が改悪となることもあり、今月から早速動いています。
(7)源泉徴収税率0%の国に投資
外国株の配当金には、外国と日本で二重課税が課されます。米国は源泉徴収税率が10%です。さらに日本で現行では約20%ということですが、これがもし30%に増税となると、重税に感じます。ところが、国によっては、源泉徴収税率が0%というところがあります。英国、オーストラリア、シンガポールなどです。これらの国に投資すれば、日本での課税だけで済みます。ただし、銘柄にもよりますが、米国企業に比べますと、成長力はそれほどでもないでしょう。
(8)損出し
譲渡益(売却益)が出た場合、現行約20%課税で、それがもし30%に増税ともなると大きく感じます。譲渡益にかかる課税を、「損出し」で節税できることはご存知でしょうか。損出しとは、年末に含み損のある銘柄をいったん売却して損失を確定させることです。これにより、その年に確定した譲渡益にかかる税金を相殺することが可能です。
※「損出し」について詳細は、前回のコラムで解説しています。
(9)繰越控除
譲渡損失を出した年の翌年以後、最長3年間損失を繰越して、翌年以後の譲渡益から控除することが可能です。確定申告によって申告します。
※現段階で詳細は不明ですが、令和4年度税制改正大綱による税制改正によって、令和6年以降、繰越控除をすることで何らかの影響があるかもしれません。
(10)外国税額控除
前述の通り、外国株の配当金には、外国と日本で二重課税が課されます。この二重課税を調整するために、外国で課された税額を日本の所得税や住民税から差し引く制度が「外国税額控除」です。所得があるサラリーマンには有効な制度です。
※現段階で詳細は不明ですが、令和4年度税制改正大綱による税制改正によって、令和6年以降、外国税額控除をすることで何らかの影響があるかもしれません。