「非日常」が日常に 大阪 コロナと戦った1年

    令和3年は新型コロナウイルス感染の急拡大とともに始まった。大阪府は3月からの感染「第4波」に際し、変異株「デルタ株」の猛威を受けて病床不足に陥り、少なくとも19人の自宅療養者が医療を受けられずに亡くなる「医療崩壊」を招いた。この教訓を踏まえ、6月21日以降の第5波では確保病床を大幅に積み増し、ワクチン接種と早期治療を促進。第4波と比べて重症化率と死亡率は低下した。しかし、12月には新変異株「オミクロン株」の市中感染が大阪をはじめ都市部で確認され、警戒感が高まる。第6波への備えはどうなるのか。

    第4波のさなかの4月13日、大阪府内で入院中の重症者数が233人に上り、当時確保していた重症病床(227床)を今年初めて上回った。5月4日の449人をピークに重症者が確保病床数を超過する事態は同月22日まで続き、一部の重症者は軽症・中等症病床での治療継続を余儀なくされた。

    病床不足の影響で自宅療養者は5月11日に1万5千人を超え、あおりを受けた自宅療養者19人が医療を受けられないまま死亡した。

    この反省を踏まえ、大阪府は第4波以降、医療機関に確保病床の上積みを要請し、今月24日に3710床(重症610床、軽症・中等症3100床)の目標を達成。第4波で最大365床だった重症病床は約1・7倍に、同2350床の軽症・中等症病床は約1・3倍に増えた計算だ。

    政府がワクチン接種と抗体カクテル療法の両輪で対策を進める中、府内では複数の大規模会場で接種を推進したほか、抗体カクテル療法を病院だけでなく宿泊療養施設や診療所の外来・往診時にも拡充し、保健所の介入前に投与できるよう初期治療体制を強化した。

    その結果、新規感染者全体の重症化率は第4波の3・2%から第5波で1・0%(10月17日時点)に、死亡率も第4波の2・8%から第5波では0・3%(同)まで低下した。

    府内では今月22日に新変異株「オミクロン株」の市中感染が全国で初めて判明。感染拡大を警戒する府は24日、無症状の希望者を対象に無料検査を始め、宿泊療養施設は35施設1万240室余りを用意すると発表した。

    吉村洋文知事は「早期発見、早期治療を主軸にホテルをフル活用し、(病床だけでなく)トータルの医療体制を強化する」と強調。大阪健康安全基盤研究所の朝野(ともの)和典理事長は「感染者が増えればリスクの高い人を入院させ、低い人は宿泊療養施設や自宅で容体をチェックする。往診やオンライン診療が担い手になるため、行政と医師会の協力が必要だ」と指摘した。


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