<独自>パソナが仮想空間事業に本格参入 100の〝街〟で働き方改革や地方支援

    人材サービス大手のパソナグループが、オンラインの仮想現実空間「メタバース」関連の事業に本格参入することが7日、分かった。今春にもメタバース空間を作り、最終的には100程度の〝街〟のような場を提供。仮想空間で職業体験をしたり、地方と世界を仮想空間で結び付けて、地方創生につなげるような取り組みなどを進める。同社の南部靖之代表が産経新聞のインタビューで明らかにした。

    今後の展望について話すパソナグループの南部靖之代表=7日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
    今後の展望について話すパソナグループの南部靖之代表=7日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

    メタバースはインターネット上に3次元(3D)の仮想空間を作り、離れた場所にいる人々が現実世界のように交流できるサービス。ゴーグル型の端末を使うなどして、現実にその空間にいるような体験ができる。市場規模は近く1兆ドル(約115兆円)に達するともされ、米交流サイト最大手のフェイスブックも、メタバースを事業の核に据えるため、昨年10月に社名を「Meta(メタ)」に変更するなど、注目を集めている。

    パソナグループはすでに、昨年末に遠隔地から自分の分身「アバター」を使い、販売や営業、受付などの対人接客業務を行う〝アバター人材〟を派遣する取り組みを始めている。こうした技術も活用し、メタバースの中で、アバターとして職業体験をしたり、共通の趣味や価値観を持つ人が出会い、新たなことを始めたりする場を提供する。

    同社は令和2年から本社機能の一部を東京から兵庫県・淡路島に移転し始めており、地方創生にも力を入れる。メタバースで淡路島と世界を結ぶことで地域の魅力を発信し、現実世界での特産品の販売や観光客の誘致に結びつけるような試みも検討しているという。

    メタバースの世界では実際に事業を行うことも可能だ。アバターを使うことで、障害の有無や年齢、国籍なども関係なく多様な人材が同じプロジェクトに取り組むことも想定される。

    終身雇用や年功序列などを基本とする日本型雇用は、激動の時代においては人材の流動性を低下させるなど、技術革新を阻んできたとも指摘されている。南部氏は「副業など実際に行うのはハードルが高いが、仮想空間で一度試してみれば適性なども分かる。メタバースで流動化革命が起きる。それに乗り遅れないようにしたい」と話している。


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