岸田政権は消費減税でウクライナ危機を乗り越えよ

ロシア軍がウクライナに軍事侵攻してからすでにひと月が経過した。戦争は次第に長期化の様相を示しはじめ、それはウクライナの人たちに深刻な被害を与えている。最近では、ウクライナ南部の都市マリウポリはロシア軍の猛攻にさらされ、子供を含む多くの市民が犠牲になっている。

議員が見守る中、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで国会演説を行った=23日午後、国会内(矢島康弘撮影)
議員が見守る中、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで国会演説を行った=23日午後、国会内(矢島康弘撮影)

ウクライナから脱出した人たちは、すでに340万人以上にも上り、今世紀最大の難民が生まれるのではないか、と懸念されている。まさに「人道的危機」といっていい。

プーチン政権に対して、日本は欧米と歩調を合わせて、経済制裁を実施している。その中心は「マネーへの制裁」だ。ロシアは石油や天然ガスの収益に依存している国家であり、また経済規模は決して大きくない。日本の3分の1以下であり、韓国やカナダなどよりも低い。経済制裁をするならば、石油や天然ガスの禁輸がもっとも有効だ。しかし欧州連合(EU)はロシアの天然ガスや石油に頼っているのでそれができない。そのためエネルギー資源など「モノへの制裁」ではなく、ロシアの金融に制裁を課すことを選んだ。

具体的には国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの主要銀行の排除とロシア中央銀行の外貨準備の凍結だった。これらの経済制裁は、ロシアのマネーの動きを痛撃した。金融の面白いところは、これらの経済制裁が実際に行われる“前”から、影響が出ることだ。

西側社会の経済制裁を織り込んで、市場は激しく動いた。特にロシアの通貨ルーブルはそのドルに対する通貨価値を一時期半減した。年間の物価に換算すると約35%以上の猛烈なインフレをもたらすことになる。現段階では多少落ち着いているが、それでも20%近い物価高になると予想できる。もちろんロシア国債や株式市場も暴落した。

ロシア中央銀行はルーブルの価値を安定化させたいが、経済制裁で積極的に介入できない。これを見越して、人々は予想をたてて、ルーブルをたたき売っているわけである。実際の経済制裁が行われるよりも早くだ。マネーの世界が、人々の予想で動くこと、その時のキーは各国の中央銀行の動きを予想することだ。

最近では、円安ドル高がかなり進行している。これを日米の金利差で説明しているマスコミも多い。ただ金利差はあくまでも両国の中央銀行の政策スタンスの結果でしかない。

いま米国の中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)はコロナ禍による供給制約(人手不足やモノの不足)とバイデン政権の積極的な財政政策の結果、高いインフレが定着している。FRBはそのため従来の金融緩和の姿勢を一転させ、経済の実勢に合った金利引き上げに移行している。ただ注意点は、バイデン政権の積極的な財政政策をムダにしないために、情勢をみての段階的な引き上げを予告している。いわゆる景気過熱に断固として向かう金融引き締めとは、現段階は異なると考えていい。

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