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ビジネスパーソンに保護犬との出会いを 「犬材派遣会社」を立ち上げた獣医の思い

東京・六本木のコワーキングスペースで、犬と触れ合いながらの仕事を体験できるサービスが登場した。そこにいるのはペットショップからやってきた犬たちではなく、かつて殺処分の対象となっていた保護犬たち。仕事中のビジネスマンに癒しを与えるという“仕事“をしている「犬材派遣会社」の登録犬だ。この体験サービスを提供するBuddies(東京都文京区)の代表で、獣医師でもある寺田かなえさん(31)は「日常の中で保護犬と人とが関わる場所を作ることで、お互いが“win-win”な関係性で共存できる社会を作りたい」と話す。その思いの背景には、保護動物をめぐる深刻な問題があった。

東京の六本木にオープンした、保護犬と触れ合うことができる“ポー”ワーキングスペース(Buddies提供)
東京の六本木にオープンした、保護犬と触れ合うことができる“ポー”ワーキングスペース(Buddies提供)

アニマルセラピーを保護犬の活躍の場に

多くのIT企業や飲食店がもたらす喧噪から少し離れた、各国の大使館も多い地区にあるコワーキングシェアオフィスのBLINK六本木(東京都港区)。扉を開けると、1匹の犬がまるで「いらっしゃいませ」とでもいうように尻尾を振って近づいてきた。犬の名はくま(メス)。利用者のリラックスに一役買っている登録犬だ。

他にも2匹の犬が「仕事頑張ってる?」と声をかけるように利用者の間を行き来し、足元に犬を迎え入れた利用者たちは仕事の手を止めて犬を撫でながら笑顔になっていた。「引き取った頃よりだいぶ落ち着きました」と寺田さん。その姿からは保護犬として扱われた過去があるようには思えなかった。

動物とのふれあいは近年、生産性の向上やストレス低減をもたらす「アニマルセラピー効果」があるとして注目されている。海外では米IT大手のアマゾンが飼い犬との同伴出勤を推奨していたり、Uberが譲渡対象の保護犬たちを近隣のオフィスに届けるふれあい体験サービス「Uber Puppies」を展開していたりと、犬と一緒に働ける環境作りを目指す企業や取り組みが増えている。

子供時代を保護犬とともに過ごし、アニマルセラピー効果を実感していた寺田さんは、それが保護犬の活躍につながる可能性があると確信。新型コロナウイルス禍で普及したコワーキングスペースに着眼し、英語で肉球を意味する「Paw」(ポー)を組み合わせて「ポーワーキングスペース」と名付けた体験サービスを立ち上げた。保護犬が一般社会に復帰するための社会化トレーニングも合わせて行うことで、保護犬側にもメリットが生まれる。

「日本では飼育しなければ日常的に犬とふれあえる機会は少なく、一方で犬好きな人の7割は住宅や仕事、年齢などの事情で犬を飼うことを断念しているという調査結果もある」という寺田さん。在宅勤務でストレスフルになりがちなビジネスパーソンの需要を見込んだ。

利用料は月額4,500円(税込)からのサブスクリプションと、単発でも1,000円(税込)から利用できる。利用者からも好評で、寺田さんが行った調査からは、ふれあい後は利用者だけでなく、保護犬のストレス値もほぼ半減することが確認されたという。「もっと犬を人の生活に溶け込ませて、犬がいることの恩恵を多くの人に味わってほしい」と寺田さんは言葉に力を込める。


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