ウクライナ侵攻で障害者270万人「大半が安否不明」 国連委員会

    国連障害者の権利委員会は14日、ロシアが侵攻したウクライナで、推定270万人いるとされる障害者の「大半が安否不明だ」との声明を発表した。自宅や居住施設から逃れ、避難所や国境に到達した人は非常に少なく、障害者の多くが「安全な場所に退避できていない」とみて、特にロシアに対し即時停戦と国際人道法や国際人権法を順守するように求めた。

    同委員会は、ロシアとウクライナも批准する障害者権利条約(CRPD)の実施を監視する機関。専門家18人で構成される。CRPDの締約国には武力紛争下で障害者を保護し安全を確保する措置をとる義務があり、今回の声明は「再三の敵対行為の停止の求めに応じないロシアの『侵略』に遺憾の意」を表明した。

    声明は、多くの障害者が「支援網から切り離され、状況に対処できない」と述べた。「薬や酸素、食糧、水が不足し、医療設備などを利用できない状態で、自宅や施設に取り残されているようだ」と指摘した。特に女性について「性的暴行を受ける危険が高い」と訴えた。

    ウクライナでは、障害者に対する戦争犯罪が疑われる攻撃も起きている。バチェレ国連人権高等弁務官は3月30日の国連人権理事会で「銃撃を受け、数十人の犠牲者が出た介護施設が少なくとも一つある」と述べた。欧州安保協力機構(OSCE)が13日発表した専門家チームの報告書は、障害のある記者が自宅で「処刑」されたとしている。(ニューヨーク 平田雄介)


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