現実とは理念を映しだすもの 社会で通用する人が育つ「イタリアの教育」

    恥ずかしながら、親としてイタリアの教育制度や学校の仕組みにあまり関心をもってこなかった。我々夫婦は、日本で受けてきた教育において、どこの学校であろうと教師次第ということを良くも悪くも痛感せざるをえない経験があった。

    (Getty Images)※画像はイメージです
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    そこで自分たちの子どもの教育にあたっては、学校の現場の日々の動きにはそれなりの感度を効かせたが、大きな仕組みにはさほど目を向けてこなかった。

    ただし、一つだけ信念として考えていたことがあった。さまざまな問題があろうと、日本での教育よりもイタリアのそれの方が「社会で通用する人に育つだろう」との信念である。それゆえ、日本の学校に体験入学させるようなアイデアを夫婦間で一切議論しなかった。

    実際、ミラノの学校に入れると、子どもにトイレットペーパーを渡しておくとか、まったく予想していない「お知らせ」に驚くことも多かった。欠員となった教師の補充がきかずに授業ができず、短くない期間、自習が続く科目もあった。

    これらは学校の予算のあり方が絡むのであろうが、最初は首をかしげるにせよ、そういうものと現状を追従するしかない。

    小学校では午後まで授業があるが、年齢があがるにつれ、午後の授業がなくなる。ただ、高校の午前中の終了とは午後1時半だから、「長い午前」と考える必要はある。

    そうなると即帰っても自宅で食べる昼食は2時近くである。だが、普通、ミラノ市内での昼食が午後1時や1時半スタートなので異常ではない。


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