自動運転技術で注目の“車の目” ソニーや東芝など電機大手の開発激化

 

 日本の電機大手が、自動車事故を未然に防ぐため、歩行者などを素早く、確実に認識する技術の開発に取り組んでいる。ソニーはほとんど光がない暗闇でも撮影可能なセンサーを開発し、来年中に量産化する予定。東芝も処理能力を従来の10倍に高めたLSIを開発し、2年以内の量産化を目指す。今後普及が見込まれる自動運転技術でも“車の目”となる中核部品だけに、電機各社は商機拡大へ取り組みを急ぐ。

 暗闇でも撮影可

 ソニーは11月、同社初の車載カメラ向けイメージセンサーのサンプル出荷を始めた。闇夜に相当する照度でも撮影が可能で、来年12月に量産を始める。

 同社はスマートフォン向けなどイメージセンサーで世界シェア首位だが、車載向けについても「品質で優位性を出せる」(イメージセンサ事業部の綿谷行展氏)として注力する方針。業績が低迷するなかで、再建の牽(けん)引(いん)役とする狙いだ。

 処理能力10倍に

 一方、東芝は車載向けLSI「ビスコンティ」の新製品を開発。処理能力を従来の10倍に高めたほか、カラー撮影により、背景と対象物の境界線を感知しやすくし、夜間歩行者を認識する性能を向上させた。平成27年1月にサンプル出荷を始め28年12月から量産する。

 同社は車載向け半導体で、25年の世界シェアが4%にとどまる。だが、新製品は競合製品に比べ技術的優位性が高いとみており、32年にはシェア30%超を目指す考えだ。

 車載カメラは現在、後方などを写す駐車支援が中心だが今後は前方の歩行者などを認識するフロントカメラのほか、サイドミラーを代替するカメラや、運転者の視線の動きをとらえる車内カメラなどが搭載される可能性がある。

 用途拡大に伴い、センサーなどの需要拡大も見込めるため、東芝は「車載半導体の需要は、自動車の台数の伸びを上回って拡大する」(車載営業推進部の伊藤淳史部長)とみる。

 矢野経済研究所は、先進運転支援システム用のカメラの世界市場が32年には25年実績の10倍近い3347億円に膨らむと予測。韓国のサムスン電子なども開発を強化しており、薄型テレビやスマートフォンに続き、世界的に開発競争が激化しそうだ。(高橋寛次)