シャープ、液晶拠点を集約 天理・三重工場から亀山へ

 
閉鎖されるシャープの天理工場=奈良県天理市

 経営再建中のシャープが、天理工場(奈良県天理市)での液晶パネル生産をやめて液晶事業の拠点を集約することが21日、分かった。

 三重工場(三重県多気町)の生産も見直す。中国向けの需要が落ち込んでいるためで、生産効率を上げ、競争力を高めるのが狙い。

 シャープは現在、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの支援の受け入れを優先して検討するとともに、政府系ファンドの産業革新機構とも交渉を進めている。こうした外部からの支援とは別に、自力でも構造改革を急ぐ。

 シャープは主に、亀山工場(同県亀山市)のほか、天理工場と三重工場で液晶を生産している。このうち天理工場は閉鎖。三重工場は一部のラインを停止し、亀山工場などに集約する。

 天理工場は1991年に液晶パネルの生産を始め、自社のスマホ向けパネルなどを出荷している。設備が古くなっていることもあり、8月末までに閉鎖する。

 130人強の従業員は、他の拠点への配置転換を検討している。次世代パネルの有機ELを含めた最先端技術の研究開発拠点としての機能はそのまま残る。

 シャープは構造改革を進める一方で、亀山工場に約112億円を投資し、タブレット端末向けなどの中型パネルの生産を強化する。

【用語解説】シャープの液晶事業

 シャープの売上高の3割を占める主力事業。2016年3月期に300億円の営業赤字となる見通しで、収益改善が急務になっている。テレビ向けパネルからタブレット端末やスマートフォン向けの中小型パネルまでを手掛ける。競争激化で不振が続き、低迷から抜け出せていない。低消費電力が特徴の独自液晶「IGZO(イグゾー)」など技術には定評がある。