通信各社、災害対策に新技術を続々導入

東日本大震災5年

 携帯事業各社が災害に強い対策に取り組んでいる。平成23年の東日本大震災では被災地の基地局が停止したほか、首都圏を中心につながりにくいなどの問題が発生した。回線の拡充や基地局の電源増強などを講じてきたほか、ドローン(小型無人機)を活用した先進技術の開発も進んでいる。

 ソフトバンクは9日、被災した携帯電話の基地局に代わって、衛星回線を利用する可搬型基地局の設置訓練を千葉県柏市の災害対策倉庫で実施した。

 同社の可搬型衛星基地局は、地面に設置するタイプと自動車の屋根に取り付けるタイプの2種類が各100台あるが、約2割軽量化した新型の衛星基地局は10台を配備した。衛星基地局からは衛星回線を5分ほどで自動捕捉し、基地局1台で携帯電話13台が利用できるという。

 NTTドコモは、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催される三重県・賢島の周囲にある基地局3カ所に、遠隔操作カメラによる「津波監視システム」と、GPS(衛星利用測位システム)を使って地殻の変化を監視する「地震予測システム」を装着した。携帯電話の基地局に津波や地震を監視する機能を持たせるのは初めての試みで、来年度中に全国に16カ所設置する計画だ。

 9日には、NECやエリクソンなど内外の通信機器メーカーと2年前から実証実験を重ねてきた「ネットワーク仮想化技術」を商用サービスに導入した。複数メーカーのデータ交換用ソフトウエアを同じサーバー環境で稼働させる技術で、災害時の復旧時間を大幅に短縮できる。

 災害時や混雑時のつながりやすさは最大5・7倍に向上。高速データ通信サービス「LTE」の基地局13万局に順次導入を広げ、29年度以降は音声通話にも導入する計画だ。

 KDDIは、ドローンを伝書バトのように使い、災害で孤立した地域で、住民の端末からメールを吸い上げて電波が通じる地域で送信するシステムを開発中。携帯電話から出る電波をドローンが感知し、生き埋めになった人を捜すなどの活用も検討している。