ホンダの本命FCV「クラリティ」乗ってみた! 静かな車内、加速の応答も速い
ホンダは18日、3月にリースを始めた新型燃料電池車(FCV)「クラリティ フューエルセル」の試乗会を埼玉県で開いた。FCVではトヨタ自動車が4人乗りの「ミライ」を2014年12月に発売して先行したが、ホンダは5人乗りにするなど、ガソリン車並みの車内空間などをアピールして対抗する。ホンダがエコカーの「本命」と位置付けるFCVの新型車を体験した。
「伸びやかな走り」
新型クラリティの運転席に乗り込み、電源を入れる。シフトレバーの代わりとなる「D(ドライブ)」ボタンを押し、アクセルを踏み込むと滑らかに加速した-。運転を始めて気付いたのは操縦に対する反応の良さだ。
FCVは燃料の水素を酸素と反応させて発生する電気を使用するモーター駆動車。ガソリン車よりも、アクセルへの応答が速い。
さらに、車内の静かさにも驚かされた。約15分間の試乗で走行音としてはっきりと聞こえたのは減速時のモーター音のみ。高級感のある内装も手伝って、ゆったりとした気分でドライブを楽しめた。
試乗では高速走行はできなかったが、「加速の応答の速さに加え、伸びやかな走りを目指した」と開発責任者を務めた本田技術研究所の清水潔主任研究員は語る。
新型クラリティは、約3分の水素充填(じゅうてん)で約750キロを走ることができる。
ガソリン車と同様に冷暖房を使えば燃費が悪化するが、「1年を通じて平均500キロは走れる」(清水主任研究員)。エンジンにあたる燃料電池システムを小型化し、車台中央部分からボンネットに移動。車内空間を確保して5人乗りにし、「ガソリン車と同等の選択肢になる」(同)。
価格・充填ネック
ただ、普及のハードルは高い。経済産業省によると、水素ステーションは3月末に東京や大阪など大都市圏を中心に約80カ所にとどまる。新型クラリティは初年度は自治体や企業向けのリースのみで、「ステーションの少なさもあり個人が自由に使うのはまだ厳しい」(同)。
ホンダは17年後半にも国内販売を始める方針だが、価格競争力が大きな課題になる。
新型クラリティは希望小売価格を766万円に設定。国や地方自治体の補助金を使えば実質負担は500万円を切る見込みだが、ハイブリッド車(HV)などと比較すると高価だ。
ホンダは米ゼネラル・モーターズ(GM)との共同開発で量産効果を上げてコスト削減を目指すが、成果が出るのは20年ごろの見込みだ。
トヨタはミライの生産を16年に約2000台、17年に約3000台に拡大してリードを広げる構え。
これに対抗し、1980年代から燃料電池の基礎研究を始めたホンダが、「FCVのリーディングカンパニーだ」(八郷隆弘社長)として普及を加速できるかがFCV市場の成否を占うことになる。(会田聡)
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