違法な測定法は25年前から 相川社長、会見で改めて謝罪「社の存続にかかわる事案」
三菱自不正三菱自動車の燃費データ不正問題で、同社は26日、不正の詳細を国土交通省に報告した。相川哲郎社長は記者会見を開き、燃費試験用データを実測せずに机上で計算していた上、25年前から違法な測定方法を採用していたことを明らかにした。他社との競争で燃費の社内目標値が5回にわたり引き上げられていたことも公表し、不正の背景になった可能性を認めた。
相川社長は会見で、「会社の存続にかかわる、重大な事案だと思っている」と述べた上で改めて謝罪したが、自身の進退やユーザー対応についての明確な見解は示さなかった。
三菱自動車によると、平成25年6月以降に販売した4車種について、燃費試験用データを違法な方法で測定し、燃費を良くみせかけるように数値を改竄(かいざん)して審査機関に報告。「eKワゴン」と「デイズ」の試験車では、他社の燃費向上情報が入ったことなどから、社内の燃費目標を23年2月から25年2月の間に5回引き上げた。引き上げが不正を招いた可能性について、同社は「結果的にプレッシャーになった」とした。
この2車種では試験車以外の実測をしなかったほか、2車種と「eKスペース」「デイズルークス」のマイナーチェンジ車については、2車種のデータを基に、目標燃費に合わせてデータ数値を机上で逆算していたことも明らかにした。
国内のデータの測定方法は平成3年に道路運送車両法で「惰行法」と定められたが、同社は米国の法令で定められた方法で実施。19年2月にはマニュアルを「国内では惰行法」と改定したが、違法測定が続いた。13年に一度、比較試験を行ったところ、惰行法と同社の方法によるデータ数値の差は2.3%にとどまることが確認されている。
違法な測定方法が開発され、25年にわたり使用され続けた理由について、同社は「分からない」としている。違法測定の対象車種については明らかにしなかったが、関係者の話では、同社が国内で生産・販売した27車種で、販売台数は200万台を超えるという。
同社は25日、弁護士3人からなる特別調査委員会を設置した。国交省は26日、「業界への信頼を大きく損なうもので遺憾」との認識を示し、同社の報告書の内容が不十分であるとして5月11日に再提出するよう指示した。国交省は26日に立ち上げたタスクフォースで、実態解明や不正防止策づくりを進める。
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