クボタ、業界初GPS搭載農機投入 農家の生産性向上
初心者でもまっすぐに苗を植えることができる=27日、千葉県柏市の沼南ファーム
クボタは27日、GPSを活用した農業機械事業に本格参入すると発表した。第1弾として直進を維持できる機能が付いた田植え機を9月に発売。「ファームパイロット」というブランド名でシリーズ化し、トラクターやコンバインなど適用車種を順次増やしていく。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)によって農産物の輸入が増えることに備えた農家の生産性向上ニーズに対応する狙い。
クボタは、業界初のGPS搭載型農機を投入することで「市場シェアを高める」(石橋善光執行役員)ことを目指す。
稲作作業の中で、田植えは「特に高い精度が求められる」(石橋氏)。作業負担は大きく長時間にわたって緊張を強いられ、まっすぐ植える技術を習得するには兼業農家だと10年程度の歳月が必要だという。
今回開発した田植え機は1工程目で直進方向の始点、終点を登録して基準線を決定。次工程からスイッチを押すだけで基準線に対して自動的に平行走行する。これにより、初心者でも簡単に作業が行える。価格は392万2560円からで初年度500台の販売を計画している。将来的には海外でも展開する。
農林水産省によると国内農家の平均年齢は66.8歳(2014年)。65歳以上が6割強を占め、多くの農家で高齢化が進んでおり、後継者が不足して生産が思うようにできないといった問題が深刻化しつつある。
このためヤンマーがドローン(小型無人機)を活用して土壌の質を測定したり、トヨタ自動車がコメの生産法人向けにクラウドサービス「豊作計画」を開発するなど、ITで農作業の効率化を図る「スマート農業」の動きが広まっている。
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