航空機と鉄道がタッグ! 「LA-京都」乗り継ぎチケット販売の“呉越同舟”

 
訪日外国人らで賑わう関西空港駅

 日本航空とJR西日本が提携し、米ロサンゼルスと関西国際空港を結ぶ直行便と、特急「はるか」の切符(関空-京都)のセット販売を4月下旬に始める。外国人に人気の京都までのアクセスで利便性を高めるのが狙いで、国内の出張・旅行需要をめぐり争奪戦を繰り広げてきた航空機と鉄道が、インバウンド(訪日外国人客)需要の取り込みでタッグを組む。京都以外の鉄道ルートもセット販売を目指しているといい、欧州では一般的な「エア(航空機)&レール(鉄道)」が日本に根付くかが注目される。(阿部佐知子)

 欧州で一般的な「エア&レール」

 両社が発売する商品名は「JAL&はるか」。ロスから京都までの片道と往復の2種類あり、航空券は通常料金だが、一括購入することでJR西の「はるか」の運賃が片道2850円から44%引きの1600円になる。

 インバウンドは関空到着後、関西空港駅で乗車券を購入することなく、事前に印刷したチケットで改札を通ることができる。列車への乗り換えを「あたかも航空便同士の乗り継ぎのようにスムーズに利用できる」(日航の中野星子西日本地区支配人)というわけだ。

 JRにとってはインバウンドに「はるか」を利用してもらい、日航にとっても空港がない京都を目的地にする利用者にアクセスの利便性をアピールできる。つまり、両社に「ウィンウィン」の関係のビジネスなのだ。

 「エア&レール」は、陸続きで国境超えが容易な欧州では一般的だ。エールフランス航空は、パリで高速鉄道に乗り換え、ストラスブールやリヨンなどフランスの地方都市のほか、隣国ベルギーのブリュッセルなどに行くチケットを一括で販売している。ルフトハンザドイツ航空も、国際線航空券とドイツの地方都市への鉄道のチケットを販売している。

 欧州にはない「自動改札機」問題

 「システムの問題などに時間をかけて取り組んだ」

 JR西の担当者は、日本で初の「エア&レール」の導入についてこう語る。

 理由は「エア&レール」が一般的な欧州と鉄道の乗車方法が違うことだ。欧州の鉄道は、駅に日本のような改札がなく、鉄道に乗り込んだ後に切符を車掌らが確認するのが一般的だ。このため、利用者は航空会社や旅行会社が発行するチケットを持ってさえいれば、車掌の確認で乗車が認められる。

 一方、自動改札口が普及している日本では、インバウンドは専用の切符を有人窓口や自動販売機で購入した上で、改札を通す必要がある。

 今回、JR西は、航空券などで採用されている「QRコード」を切符に初めて採用した。利用者がウェブサイトで印刷したチケット上のQRコードを、改札に新たに設置した機械で読み取らせることで自動改札機を通れるようにした。

 提携広がるか

 「西日本には美しい自然や世界遺産も多い。はるか以外の各種乗車券にも提携を広げたい」

 日航の中野支配人は、こう期待する。

 ただ、航空会社と鉄道会社は国内の出張・旅行需要をめぐり長年にわたりライバル関係にあった。航空機と鉄道には「4時間の壁」があるといわれる。鉄道の所要時間が4時間を超える移動は空路が優位になるという境界線で、鉄道は、新幹線のネットワークを広げることで「壁」を次々に突破し、航空需要を奪ってきた歴史がある。

 現在も日航を含む航空各社とJR西の山陽新幹線は大阪-九州間などの交通手段としてしのぎを削るライバル関係にある。

 それでもJR西の堀坂明弘常務執行役員は「インバウンドの増加で交通需要そのもののパイを増やすことが大事で、国際線と国内の鉄道の相互の移動をどうやって増やしていくか、今後とも連携を強めたい」と説明する。

 インバウンド需要を取り込む提携の鍵となるのは日本列島を東西に走る新幹線の活用だ。これまでインバウンドは、ゴールデンルートといわれる「東京-富士山-京都-大阪」に集中する傾向があったが、政府は平成32年には訪日外国人を現在の2倍となる4千万人に増やす目標を掲げ、今後はゴールデンルート以外の地方都市にインバウンドの需要を振り分けていく必要がある。

 この点では、ゴールデンルート以西に広がる山陽新幹線を抱えるJR西には需要創出の絶好の機会にもなる。関空に到着したインバウンドが新幹線でさらに西日本の地方都市に行くルートが確立できれば、大きな商機になりうる。

 JR西の堀坂常務執行役員は「タッグを組まないとやっていけない」と言い切る。これまで国内の交通需要をめぐってライバル関係だった両社が「利用者の利便性」のもとに提携に踏み切ったが、今後さらに提携拡大し、インバウンド増加につなげるか。提携第1弾の成否はまず試金石となりそうだ。