村田社長が最後の議長役に 「ノーサイドの精神で経営を」
セブン&アイ株主総会・詳報(1)セブン&アイ・ホールディングスの定時株主総会が午前10時、東京都千代田区の本社で開かれた。新社長に昇格する井阪隆一氏(58)らを取締役に選任する議案が承認され、新たな経営体制がスタート。カリスマ経営者と呼ばれ、長年経営を牽引してきた会長兼最高経営責任者(CEO)の鈴木敏文氏(83)が退き、24年ぶりの経営トップ交代となる。
《午前9時の開場の約1時間前の午前8時には最初の株主が訪れるなど関心の高さをうかがわせた。数十人の列ができたため、開場を約15分前倒しして、午前8時45分には社員が株主の誘導を始め、株主が会場となる本社に吸い込まれていく》
イトーヨーカ堂の元社員という男性株主(67)は、「役員の新体制も決まるので聞きにきた。勤めていた会社だから一連の報道はとても気になっていた」と話す。埼玉県春日部市から来た男性株主(80)は、「人事のことよりも、今後のコンビニエンスストアなどの事業展開などの考えを聞きたい」という。
午前10時ちょうどに始まった総会では、この総会後に退任し顧問となるセブン&アイ社長の村田紀敏氏(72)が議長席に登壇して、熊本地震への対応と議案の説明を行った。株主から向かって議長席の左側に鈴木氏、議長席から1つ空けて、右側の席に井阪氏が座った。
《監査報告に続き、各社の事業報告の説明用ビデオが約30分間流される》
ビデオ終了後、人事案など3つの議案について村田氏が説明を始める。質疑応答については「一括してお受けする」として説明を始める。
取締役人事案をめぐる混乱について村田社長は、「監督機能の向上を目的に、3月下旬から社内委員が提出した原案について審議したが、結論を得るに至らず、承認されなかったため、答申に委ねた。4月7日の取締役会での慎重な審議の結果、過半数に達せず、原案は承認されなかった。その後の役員人事案を組成し、4月15日の指名・報酬委員会で全員一致の賛成で決めた。19日の取締役会での審議の結果、役員の新体制を承認した」などと経緯を説明した。
《15分程度の説明後、質疑応答が始まる。早速最前列に座る男性株主が挙手した》
男性株主 「取締役選任の4月社長交代に図られた、無記名投票となったためにどのようになったか賛否が判断はできない。7人の賛成と白票の内訳は」
村田氏 「4月7日のその際多くの取締役から意見を頂き、無記名にした。一丸となって経営に当たっている。禍根を残さないように無記名にした。弁護士からも確認しているが、違法ではなく合法であります。その結果、会社側が提案した井阪さんの退任の件については反対となった。一丸となって経営という意味でノーサイドで経営にあたらないといけないということで、今の経営陣を選定した。無記名ですので多分そうであろうという内容を開示されましたが、賛成か反対化については問うことを必要としない」
《会場から拍手が起こる》
男性株主 「1350個のストックオプションを無償で配布するというのはリスクを負っていないのではないか。株式の希薄化ではないか。第3号議案には反対する」
村田氏 「これはすでに平成20年より導入している。退職慰労金制度を廃止した。事業成績とは関係なく退職する役員に支給するものだ。株主様と一体になった経営、中長期の価値を向上させる必要があるとして、退職慰労金にかえてストックオプションを導入した。別な言い方で申し上げれば、会社の株を買っていくという考えだ。役員は業績に対して責任感を持っている」
男性株主 「1つのお願いと確認。イトーヨーカ堂の株主だが、パンツのゴムが伸びる。作りが悪い。あんなモノを売っているからだめなんだ。あとはこれからはノーサイドなのか」
亀井淳イトーヨーカ堂社長 「担当の亀井です。私どもは安心安全でよりよい商品を心がけている。ご不快な思いをさせてしまったが、より満足いただける商品をお届けしたい」
村田社長 「私としては緊張しておりまして、これからはでなくこれからもでございます」
(続く)
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