「鈴木会長、退任したら会社が傾く」と陳情する株主も

セブン&アイ株主総会・詳報(4)
鈴木敏文氏(宮川浩和撮影)

 《鈴木会長の退任を惜しむ株主が質問に立つ》

 男性株主 「鈴木敏文会長にお願いがあってきた。退任を伸ばせないか? 会社が傾く」

 《会場から拍手がわき、直後に鈴木会長が発言した》

 鈴木会長 「私も歳だし、長い間やってきた。私も自信が持てる。今まで以上に会社を伸ばせるのでご支援をいただきたい」。

 《別の株主に質問が移る》

 男性株主 「同一労働同一賃金を導入しているのか」

 後藤克弘取締役 「小売り流通の特徴は、労働集約型の産業だ。常に労働生産性を高めないと付加価値を上げられない。しっかり能力を発揮する人ややる気のあるパートの方は、正社員への登用も用意している」

 男性株主 「スーパー事業について質問する。営業利益が上がっていない。百貨店もそうだ。これは何年も前から言われている。今更業務改革というが、(不振の)衣料部だけ切り離して出来ないのか」

 《亀井淳イトーヨーカ堂社長が再び登壇》

 亀井氏 「世の中の流れの中で苦戦している。在庫の問題など山積しているのは確かだ。グループ上げて、グループの支援をもらいながら改革を進めたい。今一歩ついていけなかったのは確かだが、作り上げて行きたい」

 《議長の村田紀敏社長が「十分ご理解いただけたと思う。あと2問質問をお受けする」と言うと、会場から賛同の拍手が起こる》

 男性株主 「村田さん、どうも。鈴木会長はお疲れさまでした。井阪(隆一)さんにはお願いしたい。昭和53年10月の契約で54年の開店。当時と売り上げを比べると1.7倍、人件費は2.25倍になった。人件費の上昇は加盟店が負担している。また、イトーヨーカ堂は、鳩マークが無くなったのがダメだ。あれはヨーカ堂の社員の信頼を下げた。鳩マークの復活をお願いしたい」

 井阪氏 「大変貴重な意見だ。日本の問題の1つとして労働力不足、労働力を効率よくというのは政府の政策。一民間企業がやるのは給料を払っていく。株主にご理解いただきたい」

 《株主からの最後の質問となる》

 男性株主 「埼玉の上尾からやってきた。毎年総会に参加するのが楽しみだったが今年から試供品の提供を取りやめた。杖をつきながらきたのに。会場に来ていろんな勉強をする機会だ。総会に行ってきたよという楽しみを奪った」

 後藤氏 「今おっしゃったことは理解も出来ますが、考え方として、グループ横断の取り組みでセブンプレミアムの認知度が高くなかった段階で深く知っていただきたいと試供品を渡した。売り上げも1兆円をこえて認知も高まってきた。目的は取りあえず達成したので、試供品提供を中止した。貴重な意見として受けたまわる」

(続く)