米マリオット、北海道や奈良に進出 ホテル戦争、地方も射程

 

 「シェラトン」などを展開する米ホテル大手を買収し世界最大手に浮上する米マリオット・インターナショナルが、北海道や奈良で新規開業するなど日本展開を加速させる。外国人旅行者が急増する東京や大阪では外資系と日本勢が「ホテル戦争」を繰り広げているが、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に向けて外国人旅行者は一段と増える見通しで、地方にも戦線が拡大しそうな勢いだ。

 マリオットは米同業スターウッドホテル&リゾートワールドワイドの買収を今年半ばにも完了。調査会社STRによると、客室数は今年4月時点で計111万5518室と、米ヒルトン・ワールドワイドの75万7180室や、10位以内に入っていない日本勢に大差をつけている。特典制度を利用できる会員は7500万人規模に上り「海外の強い顧客基盤は脅威だ」(国内ホテル大手幹部)との声が漏れる。

 不動産開発大手の森トラストと組み、奈良市に高級ブランド「JWマリオットホテル奈良」を20年春に開業。奈良県は東大寺などの名所が豊富だが国際的な高級ホテルが少なく、荒井正吾知事は「国賓級のVIPをはじめ多くの顧客に滞在してもらえる」と歓迎する。

 日本での認知度も高い高級ブランド「リッツ・カールトン」も、20年末までに初めて北海道に進出。スキーリゾートとして人気があるニセコ町に開業し、温泉やフィットネス施設も備える。

 東京などにある「マリオット」ブランドも拡大。森トラストが「ラフォーレ」ブランドで展開してきた長野県軽井沢町と山梨県山中湖村、静岡県伊豆市、滋賀県守山市、和歌山県白浜町にある5つのリゾートホテルを17年までに順次改装し、名称を「マリオットホテル」に変える。

 マリオットのアーン・ソレンソン最高経営責任者(CEO)は「日本は外国人旅行者が増え、大きなチャンスが到来している。提携企業と組んでホテル網を広げたい」と意欲を示す。

 迎え撃つ国内大手の対応はさまざま。プリンスホテルは東京都心部に7月にオープンする「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」をスターウッドの最高級ランク「ラグジュアリーコレクション」に加盟させ、海外から顧客を融通してもらう。大隅ヴィクター勝利執行役員は「海外での認知度を上げられ、売り上げの向上も見込める」と期待する。

 これに対し、老舗の帝国ホテルは「巨大チェーンとの競争を大きく意識せず、『せっかく日本に来たのだから泊まってみたい』と考える顧客に選ばれるように努めたい」とすみ分けを狙う。(ニューヨーク 共同)