多くの人出でにぎわうユニバーサル・スタジオ・ジャパン【拡大】
大阪市のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の運営会社が、沖縄県に計画していた新パーク建設を断念した。次代の成長の牽引(けんいん)役として約600億円を投資し、東京五輪が開催される平成32年までのオープンを目指していたが、昨年11月に運営会社を買収した米メディア大手コムキャストが採算性を疑問視したことで状況が一変した。関係者からは落胆の声も聞かれるが、競争が激化するテーマパーク業界を勝ち抜くため、大阪のUSJに集中投資する道を選択した。(藤原直樹)
政府や沖縄は落胆
「民間企業の経営判断だが、見送りは極めて残念だ」
菅義偉(すが・よしひで)官房長官は5月11日の記者会見で、USJの沖縄進出計画断念についてこう語った。会見の直前にはUSJ運営会社のジャン・ルイ・ボニエ最高経営責任者(CEO)が官邸を訪問し、計画の撤回を伝えていた。
政府は新たな振興策として沖縄進出を後押ししてきた経緯もあり、菅氏は「移設と振興は別だ」と述べ、今後も「沖縄の振興にできることは全てやる」と強調した。
USJの運営会社は沖縄美ら海水族館がある人気観光スポットの海洋博公園(沖縄県本部町)を中心に新パークを検討。「ユニバーサル」のブランドは使わず、美しい自然や水族館などと連携した総合リゾート施設にする計画で、政府や地元・沖縄県などの支援を受けながら、大阪に次ぐ第2の拠点として年間600万人程度の集客を見込んでいた。