お家芸で上方修正も再成長に試練、北米減速、開発負担が重しに トヨタ

 
2016年9月中間連結決算について説明するトヨタ自動車の伊地知隆彦副社長=8日午後、東京都文京区

 トヨタ自動車が平成29年3月期の連結営業利益予想を従来見通しから1千億円上方修正したのは、お家芸とする原価低減の徹底が収益を押し上げるためだ。ただ、それでも前期比で4割もの減益となる上、世界販売も米国市場の減速などから下方修正した。円高の逆風が続く中で、次世代環境技術などで優位性を保つための投資は削れない。直面する厳しい局面をどう克服し、再び成長軌道に戻すのか。トヨタの真価が試される。(今井裕治)

 「緊急的な原価低減活動が順調に進んでいる」

 トヨタの伊地知隆彦副社長は8日、東京都内で開いた会見でこう胸を張った。原価改善の取り組みなどで前期よりさらに1150億円ものコスト改善にめどをつけ、営業利益予想の上方修正につなげたからだ。

 乾いた雑巾を絞るような徹底したコストの圧縮で、収益は予想より上向きとなる計画だが、販売をめぐる環境は難しさを増している。29年3月期の世界販売見通しは8月時点の予想に比べ5万台引き下げられ、1010万台に見直した。世界販売台数の約3割を占める北米での苦戦が最大の要因だ。北米の販売台数は当初予想を6万台下方修正し、282万台とした。

 米国の新車市場は減速が続き、10月まで3カ月連続で前年実績を下回っている。しかも、売れ筋がトヨタの得意とする小型車やセダンから、スポーツ用多目的車(SUV)など比較的大型の車種に移っていることも逆風だ。市場の減速により顧客争奪戦も激しく、米国勢との値下げ競争に巻き込まれれば、利幅の低下も避けられない。

 懸念は米国だけにとどまらない。好調が続く中国も年末に小型車減税が終われば販売減が確実。強みを持つタイやマレーシアも市場は縮小傾向で、想定より販売が伸び悩む恐れもある。

 こうした状況下での業績改善には、研究開発費の削減も一つの手段だ。しかしトヨタは最高益だった前期より開発費を増やし、過去最高額の1兆700億円を投じる計画。開発競争が激しい環境対応車などへの投資がかさむためだ。

 会見で伊地知副社長は環境対応車戦略について「(水素で走る)燃料電池車が究極(の本命)だ」と述べ、従来通りの方針を強調した。その上で、今冬に発売するプラグインハイブリッド車(PHV)に加え、電気自動車(EV)も「投入を検討できる体制にしたい」と述べ、全方位で開発を進める考えを示した。