精密機器大手各社が改革に本腰 ニコン、希望退職1000人規模
精密機器メーカー大手が構造改革に本腰を入れ始めた。半導体装置事業で赤字が続き、デジタルカメラ市場の縮小に悩むニコンは8日、希望退職の募集で国内従業員の1割に当たる1000人規模を来年3月末までに削減するなどのリストラ策を発表。リコーやカシオ計算機も、生産拠点の縮小や不採算事業からの撤退に乗り出す。各社は、医療機器や商用・産業印刷など新分野を軸に再成長の道を探ろうと必死だ。
ニコンの半導体露光装置は世界の市場占有率で1990年代まで首位だったが、近年はライバルのオランダASMLに追い越され、赤字が続く。カメラ事業もスマートフォンの普及で市場が縮小している。
構造改革に伴い、2017年3月期の連結業績予想を下方修正。480億円を特別損失として計上し、最終損益は従来予想比360億円減の60億円の赤字(前期は182億円の黒字)に転落する見込みだ。
同日に会見したニコンの牛田一雄社長は「雇用に手をつけざるを得ない事態となり、責任を痛感している」とし、「競合相手の規模が大きく、真正面からぶつかっても勝つのは難しいと判断した」と述べた。
リコーも、コピー機などの事務機を生産する米国の工場など2カ所の生産拠点を来年にも閉鎖する。本体では従業員約8000人の約1割を占める経理や人事など本社部門の人員を半減し、本社を東京・銀座から大森事業所(東京都大田区)に移転。成長分野の商用・産業印刷などに注力する。
カシオ計算機も、企業の業務を支援するシステム部門のうち、プリンター事業からの撤退を決定。オフィスオートメーション(OA)事業の一部の不採算事業から順次撤退する。対象事業の製品やサービスに関わる約500人の人員を半減し、伝票管理システム「楽一」に経営資源を集中させる。
一方、同日に出そろった精密機器大手7社の16年9月中間連結決算は、円高などの影響で全社が減収。スマホやタブレット端末向けの液晶パネル生産に使われるFPD露光装置の販売が好調で増益となったニコンを除き、6社が減収減益となった。リコーは主力の複合機の販売低迷などが響き、営業、最終ともに大幅減益となった。
富士フイルムホールディングスは、為替の影響を除けば増益を確保した。インスタントカメラ「チェキ」のほか、医療機器のデジタルX線撮影装置(DR)などが好調だった。コニカミノルタもDRの販売を伸ばした。
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■精密大手7社の2016年9月中間決算
(売上高/営業利益/最終利益)
・富士フイルムHD
1兆1209(▲8.6)/634(▲21.3)/335(▲28.5)
・リコー
9714(▲11.3)/165(▲70.5)/50(▲85.5)
・セイコーエプソン
4875(▲10.2)/277(▲33.4)/184(▲29.1)
・コニカミノルタ
4619(▲8.9)/185(▲34.3)/132(▲23.6)
・オリンパス
3499(▲11.6)/343(▲31.4)/221(▲38.0)
・ニコン
3437(▲13.8)/233(55.9)/177(53.5)
・カシオ計算機
1567(▲9.9)/134(▲37.7)/63(▲58.6)
※単位:億円。カッコ内は前期比増減率%、▲はマイナス。富士フイルムは米国会計基準、リコー、エプソン、コニカミノルタは国際会計基準
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