
家電量販店「ビックロビックカメラ新宿東口店」の売り場に並ぶバルミューダのオーブントースター=東京都新宿区【拡大】
家電市場で、ベンチャーや中小企業の躍進が続いている。シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収され、東芝が白物家電事業を中国メーカーに売却するなど、大手の撤退や事業縮小が相次いでいるのとは対照的に、次々にヒットを飛ばし、商品ラインアップを拡大している。国内家電市場は人口減などで縮小傾向にあるが、大手と一線を画した独自の商品づくりで、淘汰(とうた)の波をかいくぐっている。
トースター15万台
東京・新宿の大型家電量販店「ビックロ ビックカメラ新宿東口店」。5階のオーブントースター売り場では、バルミューダ(東京都武蔵野市)の「ザ・トースター」が、単独でより目立つように陳列されている。売り場を担当する小国真彩主任は「品切れに近い状態がずっと続いている」と人気ぶりを話す。
昨年6月に発売されたザ・トースターは、買い置きのパンでもおいしく焼き上げる高機能が売り。「窯」をモチーフにしたシンプルなデザインの評価も高い。価格は2万2900円(税別)と、2000円程度の商品もあるトースターではかなり高いが、すでに15万台を売った。
「モノではなく、最高においしいパンを食べるという体験を形にした」。寺尾玄社長は、独自のコンセプトを強調する。