まとめサイト問題、DeNAの経営を直撃 新規事業の柱が崩壊

 
まとめサイト問題で謝罪会見したDeNAの幹部。南場智子会長(右)、守安功社長(中)ら=7日午後、東京都渋谷区(桐山弘太撮影)

 ディー・エヌ・エー(DeNA)の情報まとめサイトで不適切な運営が行われていた問題は、同社の経営に大きな打撃となる。企業ブランドの失墜に加え、飛躍をかけた新規事業の柱である情報サイトの休止は、業績を圧迫しそうだ。

 IT新興企業の雄として拡大を続けてきたDeNA。しかし、その快進撃の陰りは、今回の問題が発覚する以前に業績面に現れていた。

 2016年3月期の通期売上高は1424億円で前期比増収だったが、伸び率はわずかに1%にとどまる。とくに業界関係者から指摘されていたのが、ゲーム事業の停滞だ。同事業の売上高は1096億円で前期より3%減少した。

 その点は、DeNA自身も認識している。同社の守安功社長は7日に開いた記者会見で、「DeNAはゲーム事業で大きく成長したが、2012年くらいをピークに業績が伸び悩んだ。ゲーム事業を立て直す必要もあるが、それ以外に新しい事業を作っていく必要があった」と述べている。

 国内ゲーム事業の伸び悩みを前に、DeNAは多角化と海外展開にかじを切った。まず海外部門はどうなっているか。当初は海外売上比率50%を目指し、「真のグローバルリーディングカンパニーに成長していきたい」(同社幹部)と鼻息も荒かったが、10月18日に米子会社を解散すると発表。海外向けのゲーム開発などを手がけていたが、ヒット作が少なく赤字基調から脱しきれなかったためだ。

 海外事業が仕切り直しを余儀なくされ、国内の一段の開拓を迫られたDeNAは、新規事業の中核に、「キュレーションサイト」とも呼ばれる情報サイトを位置づけた。前期は新規事業の2割程度だったが、直近は約5割を占めるまで拡大。先行投資が続いていたが、足元の10~12月期で黒字転換できると見込んでいたところに、記事の無断転用や誤情報記載など今回の問題が表面化した。

 豊富な現預金など、同社の財務基盤は全体でみれば安定している。キュレーションを含めた「新規事業・その他」のセグメントは売上高のまだ1割にも満たず、今回の不祥事の影響は限定的との見方もある。

 ただ、「新規事業は赤字基調のものが目立ち、そもそも採算性を高めることに苦労してきた」(大手証券関係者)同社だけに、やはりショックは隠せない。守安社長も会見で、「さまざまな新規の事業を作ってきたが、当初の期待通りに成長することが、結果として難しかった」と焦りを吐露。キュレーション事業については、「適正な体制で適切な情報を届けることができれば事業として成立する」としながらも、今後については「第三者委員会の調査を待つ必要があり、現時点ではいえない」と言葉を濁した。

 プロ野球「横浜DeNAベイスターズ」の親会社でもあり、ゲームを中心に消費者に身近な世界でビジネスをしている同社にとって、ブランドや信用が失墜したことのダメージは少なからぬものがある。また、メディアを運営する企業としては過去最大規模の著作権侵害の事案に発展する懸念も指摘され、訴訟リスクものしかかる。

 上昇基調だったDeNAの株価も、問題発覚後に売りを浴びている。11月下旬には3600円を上回っていたが、7日終値は3095円となっている。

 さらに今回の問題での同社への批判の強さや余波の大きさを考えると、経営体制が不安定化するリスクもぬぐえない。

 守安社長は7日の会見で、一連の騒動への対応を終えた後に辞任する可能性を問われて、「辞めるつもりはない」と否定し、「信頼を回復し、企業を成長させていきたいと考えている」と強調した。創業者の南場智子会長も「会社を作り直す」と事態収拾への決意をアピールした。

 だが、問題が長期化したり同社への批判が一層強まるようだと、守安氏の進退問題や南場氏の経営責任を問う声が高まることも考えられる。情報まとめサイトの不適切運営問題の詳しい原因や組織の問題点を調べる第三者委員会の調査の行方が焦点となりそうだ。(柿内公輔)