日立製作所社長・東原敏昭さん(61)

2017 成長への展望
日立製作所の東原敏昭社長

 ■「つながる」軸にIoTなど設備投資

 --米国の次期大統領にトランプ氏が決まり、為替や株も動いている。今年の見通しは

 「英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit=ブレグジット)にトランプ氏など、何が起こるか分からない。固定観念を持たず、全てのデータを見るというのが昨年の教訓だ。為替も1ドル=100円から120円の幅で振れるものだとして準備したい」

 --本格化していくブレグジットの影響は

 「鉄道事業や原子力発電所など(日立が)英国中心でやっていることについて輸出面で心配されていると思う。鉄道はイタリアの会社を買った拠点がある。日立の事業がどうこうより、逆にEUと英国の間の貿易に今後障壁ができることで、EU圏全体の景気のスローダウンのほうが心配だ」

 --原子力事業の統合交渉はどういう状況か

 「組織の統合と言った覚えはない。原子力事業に何十年も携わってきて、東日本大震災が起きた。廃炉処理を含め1000人以上の作業員が現地に出ている。一度原子力事業をやった企業は最後まで責任を負う。そのためにも、ずっと赤字のままでは続けられない。いろんな方向性で事業を考える必要があるということだ」

 --原発輸出には逆風も。世界で原子力事業の見通しは

 「エネルギーのベストミックスは全体で見なければならない。経済発展や地球温暖化、二酸化炭素削減の問題もある。産業を各国で興していく上で、エネルギーは非常に重要だ。単に原子力ゴーオアノットゴーでなくそうした全体の流れの中で(各国で)国民議論にしていかねばならない。私は原子力は重要と考える」

 --設備投資計画は

 「国内景気は若干、ブレーキを肌で感じている。しかし中長期的にはあらゆるモノがインターネットにつながる『IoT』がらみで、相当に大きな成長があるとみている。(ITを活用した金融サービス)フィンテックにIoT、人工知能(AI)と、デジタル化の流れが加速している。キーワードは『繋(つな)がる』だ。昨年立ち上げたIoTのサービス基盤『ルマーダ』を活用し、生産、物流、決済という一連の繋がりの中で、全体最適を見ていくビジネスが伸びるとみて投資を行う」

 --グローバル化で日本の競争力とは

 「日本の特徴はものづくりやサービス。これらをITで補強して全世界に提供していくことが、対諸外国に打ち勝っていく原動力になると信じている。そこが日本の強みをグローバルに発信するポイントだ」

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【プロフィル】東原敏昭

 ひがしはら・としあき 徳島大工卒。1977年日立製作所入社。情報・通信グループ情報制御システム事業部長などを歴任後、2010年日立プラントテクノロジー社長。日立製作所執行役常務、専務を経て、14年4月から現職。徳島県出身。