JFEスチール社長・柿木厚司さん(63)
2017 成長への展望■基盤整備・大型投資の成果引き出す
--中国の過剰生産で海外市況が低迷している
「それ自体は以前からのことなので、価格が回復していないことに驚きはない。ただ(米国などが反ダンピング課税を相次いで課して)ここまで保護貿易主義が台頭してくるとは思わなかった。これだけ大量に中国の鋼材が出回ると、そうした動きが出てこざるを得ない。価格についても、もっと回復すると思っていた」
--中国政府は昨年だけで4500万トンの粗鋼生産能力を減らしたと強調している
「中国はここ4年間、年8億トン以上の生産を続けており、まったく減っていない。重要なのは今年以降だ。中国は2020年までに1億~1.5億トンを減らすといっているが、(能力削減は)緒に就いたばかり。動向を注視していく必要がある」
--昨年夏以降、原料炭の価格が高騰している
「予想外の出来事で驚いた。価格高騰は中国が構造調整のため炭鉱の操業を政策的に減らし、調整が進まない鉄鋼との差が広がっているためだ。高騰分の製品への価格転嫁は非常に難しいが、(自助努力の)コストダウンだけでは吸収しきれない。鉄鉱石や、亜鉛などの副原料も上がっている。需要家にとっても(2万円を超える値上げの)受け入れは非常に大変だと思うが、鉄鋼が産業として残るための最低限のお願いだ」
--国内需要は回復傾向にある
「造船など厳しい業種もあるが、自動車向けの需要が回復し、住宅向けも上向いている。今後は五輪需要が顕在化するほか、リニア新幹線の建設も進む。ただ、個人消費はもう少し盛り上がってほしいと思う。賃上げで収入が増えても、将来への不安が壁になっている。政治的には(海外と比べて)安定しているので、やらなければならないことを実行してほしい」
--原油価格が上がっている
「石油輸出国機構(OPEC)の減産合意でどの程度上がるかだが、(これから生産が増える)シェールガスの存在もある。急激に上がる感じではない。(原油掘削に使う)シームレス鋼管の需要がすぐに回復するとは思っていない」
--17年3月期はJFEスチールとして初の赤字となる見通しだ
「中期経営計画2年目に入った昨年は、基本方針である製造基盤整備に向けて、さまざまな施策を実行した。収益的には目標にとどかないことを考えるとじくじたる思いだ。製造基盤整備や大型投資の成果を引き出すことに全力を挙げる」
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【プロフィル】柿木厚司
かきぎ・こうじ 東大経卒。1977年川崎製鉄(現JFEスチール)入社。2007年常務、10年専務、12年副社長などを経て、15年4月から現職。茨城県出身。
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