伊藤忠商事社長・岡藤正広さん(67)
2017 成長への展望■顧客に新ビジネス提案、トップ争いを
--世界経済の行方をどうみるか
「米国の老朽化したインフラ更新需要が大きいが急ぐ必要はない。加えて所得税と法人税も減税する計画だが、財政赤字の問題もあり、一気にはいかない。新政権の経済政策は振れ幅が大きいのでまずは様子をみる。新興市場のイランも建機や資機材の商機はあり、人員も増やしたが、米国の外交政策を見極めたい」
--2016年9月中間連結決算の最終利益でも、前期に続き総合商社トップを射止めた
「5年で最終利益4位から2強の一角を占めるまできた。今期どうなるかはともかく、三菱商事とは違うカラーの伊藤忠がトップ争いする構図を描きたい。商社は上から目線になりがちだが、非資源の商売はお客さん目線で、常に変化を先取りして新しいビジネスを提案し、お客に尽くすのが生き方だ。効率良く、利益を稼ぐ指標である株主資本利益率は17年3月期に15.2%を目指す。他社に比べ本体の社員数も少なく資産効率は圧倒的に高いと自負している」
--三菱商事はローソンを子会社化したが、傘下のファミリーマートへのスタンスは
「コンビニエンスストアの経営はきめ細かくやっていく仕事で、一般企業の経営とは少し違うと思う。当初は経営のガバナンス(企業統治)はしっかりやった上で、プロパー(生え抜き)社員の力に任せたい」
--320社超のグループ会社のかじ取りは
「か・け・ふ(稼ぐ・削る・防ぐ)の精神は本社だけではなく、グループ会社にも浸透している。親が率先すれば子供は親の背中を見てついてくる。携帯電話の無駄を削減し、電気代を削減しようとエレベーターに乗らない会社もある。子会社の社長定年もルールはあるが、できる人は柔軟にやってもらう」
--タイ財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループと中国最大の複合国営企業中国中信集団(CITIC)へ投資したが、具体的な効果は
「今年は大規模人事が行われる中国共産党大会の年で、CITICの大型投資は様子見ではないか。一方で、昨秋から中国政府に早く資本提携の成果を出せといわれ、まず、国民のためになる病院経営事業を共同でやっていく。最先端医療より、リネンサプライや病院の周辺サービスを提供する。価格高騰で豪州の石炭投資は実現しなかったが、CITICとは資源開発にも取り組みたい。昨年、住友化学と鶏の成長を促す飼料添加物の販売で提携したが、CP向け飼料販売の拡大が背景にあり、提携効果が広がっている」
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【プロフィル】岡藤正広
おかふじ・まさひろ 東大経卒。1974年伊藤忠商事入社。2002年執行役員、常務・繊維カンパニープレジデント。専務、副社長を経て、10年4月から現職。大阪府出身。
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