日本生命保険社長・筒井義信さん(62)
2017 成長への展望■保障性商品を訴求、コンサル強化へ
--トランプ相場が保険ビジネスに与える影響は
「一番影響を受けるのは為替の動きだ。足元の相場は円安に振れているが、トランプ新政権の政策運営次第で円高に戻るリスクもある。米国金利が上がると、当社が投資している米国債の利回りも上がる。ただ、為替差損を回避するためのコストも増えるのでバランスを取る必要がある」
--日銀の大規模な金融緩和は長期化しそうだ
「国債の利回り曲線は平坦(へいたん)化し、超長期金利も過度に低下している。マイナス金利の深掘りは慎重に判断してほしい。現状の超長期金利の水準では、生命保険会社の投資の目線にはまだ合わない」
--予定利率の目安となる標準利率が4月に0.25%下がる
「これだけ標準利率が下がると、保険料の維持は考えにくい。ただ、同じような幅で予定利率を下げていくと、お客さまから見た貯蓄性商品の魅力は薄れてしまう。商品自体の魅力や商品ラインアップは極力保つと同時に、会社の財務健全性を維持する必要もある。両面を検討し、保険料をどうするか検討しているところだ」
--低金利下での商品戦略は
「保障性商品を訴求し、コンサルティングを強化していく。低金利にある程度対抗力があると同時に、少子高齢化などの社会課題の解決に貢献できるような新商品の開発も進める。銀行の窓口販売用に外貨建ての保険商品も作る。傘下の三井生命保険との商品の相互供給も加速する」
--営業職員のコンサル力の強化も課題だ
「携帯端末を通じて、営業職員に顧客への提案内容をアドバイスする仕組みを2017年度中にも導入する。加入状況や年齢、家族構成によって約500の顧客層に細分化し、どの商品にどのタイミングで加入する傾向があるかを分析した。アドバイスのメッセージは約2000種類。経験の浅い営業職員が活用すれば、全体のコンサルティング能力の底上げにつながる」
--海外のM&A(企業の合併・買収)戦略は
「日本生命を除くグループ事業の最終利益に持ち分比率を乗じた利益総額を24年度末までに1000億円に引き上げる目標を掲げている。海外の比率を増やしていかないと、この目標は達成できない。そのためにも今後のM&Aでは、地域の分散を図ると同時に資産運用会社など事業の分散にも力点を置く。相乗効果をしっかり取れる相手企業を見つけたい」
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【プロフィル】筒井義信
つつい・よしのぶ 京大経卒。1977年、日本生命保険入社。常務執行役員、専務執行役員などを経て、2011年から現職。兵庫県出身。
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