コニカミノルタ社長・山名昌衛さん(62)

2017 成長への展望

 ■強み生かして新たな価値生むM&A

 --2016年は為替変動の激しい1年だった

 「当社は主力の複合機が欧州を中心に堅調で、現地通貨ベースでは増収増益だ。ハードを売るのではなく、複合機を通じたサービスを提供する戦略に軸足を移している。生産の割合のかなりの規模を中国や東南アジアに移し、ドルレートの変動に影響されない体制を整えている。ユーロ取引、ユーロ圏内での調達を増やすなどして為替変動に対応していきたい」

 --医療分野を成長の柱に位置づけている

 「当社が注力しているのは、プライマリーケア(初期医療)の分野だ。地域の中規模の病院や診療所と連携、診断レベルの向上に取り組んでいる。DR装置(デジタルX線画像診断装置)や超音波画像診断装置をインターネット接続し、遠隔診断をサポートしたり、患者の行動をスマートフォンで監視したりするなどのサービスを提供し、医療・介護現場の負担を減らしたい」

 --創薬支援技術の開発にも取り組んでいる

 「写真フィルムで培った技術を活用し、パリのパスツール研究所などと、患者一人一人に合った最適な薬の開発に貢献する技術を研究している。細胞中のタンパク質などの動きを高解像度で観察できることで、新薬の開発にかかる時間やコストの短縮を目指す。実用化すれば、薬の価格も抑えられる効果も期待できる」

 --監視カメラシステムも成長分野だ

 「ドイツの監視カメラメーカー、モボティックスの買収を16年6月に完了した。通常の監視カメラは、大量で高画質の画像を集めるために大容量のサーバーが必要だが、モボティックスのカメラには画像解析ソフトが内蔵されている。効率的な撮影や不審者の追尾などもできるビデオマネジメントシステムを提供する」

 --独自の光学技術を活用した3次元レーザーレーダーの開発を進めている

 「広範囲で高精度の物体検知ができ、監視カメラやセンサーと組み合わせれば、自動運転の支援や工事現場の安全性向上、無人変電所の監視、ガス漏れ検知などに役立つ。セキュリティーだけでなく、ショールームに設置すれば、消費者の行動や好みの分析にも役立つ。17年度中に商用化する」

 --M&A(企業の買収&合併)戦略は

 「既存事業の成熟化を理由に、新市場に進出するためのM&Aはやらない。当社の強み、技術を生かして新しい価値を生み出していくのに、不足しているものを提供してくれるパートナーがいれば、積極的に行っていく」

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【プロフィル】山名昌衛

 やまな・しょうえい 早大商卒。1977年、ミノルタカメラ(現コニカミノルタ)。常務執行役、コニカミノルタビジネステクノロジーズ社長などを経て、2014年4月から現職。兵庫県出身。