動揺広がる日系メーカー トヨタのメキシコ新工場批判に
トランプ次期大統領トランプ次期米大統領がトヨタ自動車のメキシコ新工場の建設計画を批判したことで、日系メーカーに動揺が広がった。トヨタは米国生産を重視してきたが、世界販売で首位を争う存在感の大きさが雇用流出批判の「標的」になった格好だ。米国の需要拡大で生産拠点としてメキシコの重要性は高まっており、トヨタの動向は日系企業の北米戦略に大きな影響を与えそうだ。(会田聡)
「進出国で良き企業市民になりたい。やり方は雇用(創出)と税金を支払うことだ。トランプ氏とは同じ方向を向いている」。トヨタの豊田章男社長は5日夕に記者団にこう述べ、政権への協力姿勢を示した。だが、わずか数時間後にトランプ氏から批判を浴び、トヨタ社内からは「なぜこのタイミングで」と困惑の声が上がった。
トヨタは日米自動車摩擦が激化した1986年に米国の生産会社を設立。代表車種「カムリ」「カローラ」などの生産を始め、販売拡大に伴って生産拠点を広げてきた。
現在の米国内の生産態勢は部品工場を含む10拠点に上り、生産能力は年約130万台。「これまでに219億ドル(約2兆5千億円)を投資し、(販売網を含め)13万6千人を雇用している」と地域経済への貢献を強調する。
一方、2004年に稼働したメキシコ工場は年産10万台。新工場が稼働しても30万台にとどまるが、業界内では「トヨタの規模の大きさから批判の標的にされた」(関係者)との見方もある。
同社は6日、批判を受けて「状況を注視する」とコメントし当面は新工場の建設を続ける方針。ただ、米国を中心とする北米は販売台数の約3割、営業利益の約4割を稼ぎ出す主要市場。メキシコから米国への輸出に高関税を課されれば競争力が低下してしまうため、投資計画の見直しを迫られる可能性もある。
さらに、トヨタへの批判は日系メーカー全体の戦略に影響を及ぼす恐れもある。日産自動車のメキシコの生産能力は約85万台とトヨタを大きく上回り、マツダはメキシコを北米唯一の生産拠点としている。
既に、精密小型モーター大手の日本電産は、メキシコの工場から米国の工場に生産を移す可能性を示唆している。日系メーカー各社は、日本を代表する企業であるトヨタの動向を固唾をのんで見守っている。
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