トランプ氏「口先介入」に産業界は戦々恐々 2社陥落、労組歓迎も悪影響に懸念 (1/2ページ)

 【ワシントン=小雲規生】トヨタ自動車に矛先を向けたトランプ次期大統領の影響力が、20日の就任前から産業界に波紋を広げている。ツイッターによる企業への「口先介入」で、米国の有力企業2社がすでに海外生産の拡大計画を転換。雇用が守られる形となる労働組合からは歓迎の声が上がるが、強引な手法には長期的な雇用への悪影響を懸念する声も上がる。

 トランプ氏にとって大企業攻撃は選挙戦中からの「十八番」だ。最初の標的となった空調大手キヤリアは昨年12月1日、メキシコへの工場移転計画の縮小を発表。今月3日には自動車大手フォード・モーターがメキシコでの新工場建設計画撤回とミシガン州への投資計画を発表した。

 企業側には「いつ標的にされるか分からない」との不安も広がる。東海岸と3時間の時差があるネバダ州で開催中の家電見本市「CES」では、トランプ氏の“早朝ツイート”を警戒して午前3時に起きる企業関係者もいるという。

 ただし雇用流出の阻止は労働者にとって朗報であることは事実。全米自動車労働組合(UAW)は3日、トランプ氏の介入を踏まえたフォードの決定を「米国で製品を売る企業は米国で生産すべきだと信じてきた」と歓迎。民主党の大統領候補指名争いで名を上げたサンダース上院議員も5日の米MSNBCテレビでのインタビューで、「トランプ氏が雇用を米国に維持しようとしていることを称賛する」と述べた。