
新年祝賀会に臨む(左から)日本商工会議所の三村明夫会頭、安倍首相、経団連の榊原定征会長、経済同友会の小林喜光代表幹事=5日午後、東京都内のホテル【拡大】
経団連、日本商工会議所など経済3団体共催の新年祝賀パーティーが5日、東京都内のホテルで開かれた。トランプ次期米大統領の政策への期待もあって、出席した経営者からは日経平均株価が2万円を上回る水準を維持するとの予測が聞かれるなど、景気回復の追い風を実感する声が聞かれた。さらに、賃上げや働き方改革などに積極的に取り組む姿勢も示された。
パーティーでは主催者を代表し、日商の三村明夫会頭が「トランプ政権の動向を見れば、今後2年間は円安株高は続く。その猶予期間に構造改革を急ぐべきだ」とあいさつした。
これに対し、出席した安倍晋三首相は「過去3年の大幅な賃上げに続いて、4年連続で」と、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)を要請。同時に「長時間働くことは過去の話で、働き方改革の断行の年にしてほしい」とも語った。
株価について、出席した経営者の多くは日経平均株価が2万2千円程度まで上昇すると見込む。為替も1ドル=110円を下回る円高の想定はなく、115~120円程度が主な予測だ。神戸製鋼所の川崎博也会長兼社長が指摘するように「トランプ政策次第」で、乱高下することも想定されるが、サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長が「トランプ政権は日本にとっていい機運をもたらす」と語るなど、期待の方が大きい。
賃上げについても、デフレ脱却に個人消費の拡大が避けられないことに加え、昨年末からの円安株高で、業績改善が見込めることから大半が前向きだ。ただ、みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長が「賃上げはベアである必要はない」とするなど、年収ベースでの賃金引き上げを想定する声が多い。
パーティー後には、経済3団体のトップがそろって記者会見。経団連の榊原定征会長は「米国経済が牽引役となって、世界がインフレ傾向になり、円安株高も続くことで、デフレ脱却実現の可能性も出てくる。現実に脱却の年にしたい」と期待を寄せた。