大林組社長・白石達さん(69)

2017 成長への展望

 ■再生可能エネ 売上高300億円が射程に

 --2016年度上期は最高益だった。17年の見通しは

 「大きな変化はなく、昨年の決算の延長線上とみている。着実に今の状態を保ちたい。海外を見渡しても、米トランプ政権は建設業にとってプラスであり、景気失速がささやかれる中国も、そう下手は打たないだろう。ただ、昨年はくい打ちデータ偽装など業界の不祥事が相次いだ。好調なときこそ気を引き締め、基本に忠実にいきたい」

 --資材費や労務費が上がる懸念は

 「中国は鉄鋼生産を簡単に減らせないので、資材費は低水準が続くはずだ。労務費は、下がることはないけれど急騰することもないだろう。五輪関連の工事が本格化するが、大きい施設は新国立競技場とカヌー会場、アクアティクスセンターくらいで、他は仮設ばかりなので、さほどの人手不足にはならない」

 --地震で被災した熊本城天守閣の修復で、設計業務委託契約を昨年12月に熊本市と結んだ

 「お城が復旧することで、熊本全体を元気づけられる。やりがいのある仕事だ。現地の支店に『優先交渉権をぜひ獲得しろ』とハッパをかけていた。石垣の修復には20年かかるとされているが、建物だけは五輪の年までに直す」

 --収益源の多様化に向けて注力している再生可能エネルギー事業の見通しは

 「売上高300億円が射程に入ってきた。昨年は秋田県三種町で風力発電施設を起工したが、秋田港や能代港での洋上風力発電の事業化につなげたい。また18年から山梨県大月市で開始する木質バイオマス発電は、天気に左右されないベースロード電源になる」

 --今後の海外事業の展開は

 「大幅な量的拡大は当面望んでいない。現在は受注ベースで年間4000億円超、国内の4分の1とちょうどいい規模だ。あとは利益率を高めていく。米国はカリフォルニアが主戦場。東南アジアはタイを中心に。タイは日系企業以外からの受注が6~9割に上っており、十分にローカライズできている。年間300億円規模の受注を500億円ほどに伸ばしたい」

 --政府の賃上げ要請にどう対応するか

 「社員の給料を上げて消費に好影響をもたらし、景気の好循環につなげることは十分承知している。要請のあるなしにかかわらず、これまでも目一杯の分配をしており、今年もそうするつもりだ。もちろん顧客には高品質の施工を、株主には高配当を提供していく」

                   ◇

【プロフィル】白石達

 しらいし・とおる 東大工卒。1971年大林組入社。取締役、東京建築事業部副事業部長、常務執行役員、専務執行役員東京建築事業部長などを経て、2007年6月から現職。大阪府出身。