第一生命HD社長・渡辺光一郎さん(63)
2017成長への展望■手続きにロボット導入し効率化図る
--足元の事業環境は
「トランプ氏の米大統領就任や欧州主要国の選挙といった外的なリスク要因がある。米国は今年3回の利上げが見込まれ、日米金利差の拡大が想定されている。ただ、米国はドル高円安を許容し続けることはなく、どこかの時点で日本も低金利政策の見直しが議論されるだろう。生命保険業界固有の事情としては、4月に標準利率見直しなどの問題も控えている。変化への対応力が求められる時代になった」
--トランプ氏の大統領就任は北米戦略にどんな影響を与えそうか
「米国は共和党政権がねじれを解消し、積極的な財政出動をしてくることに注目すべきではないか。米国子会社のプロテクティブ生命は収益の約4割を買収事業が占めている。今のように環境変化が起きているときは買収案件が出やすい。当社側から見ると、為替差損リスクを負わないドル建ての買収案件を取り込めるメリットもある」
--北米以外の地域での成長戦略は
「東南アジア諸国連合(ASEAN)に注力する。ベトナム子会社の第一生命ベトナムについては、ベトナム郵便会社との窓口販売での業務提携を生かし、順調にシェアを伸ばしている。ベトナムでのノウハウをカンボジアやラオス、ミャンマーなどに横展開していく。ミャンマーには今年中に駐在員事務所を開設する計画だ」
--かんぽ生命との業務提携の今後の展開は
「日本郵政グループの民営化のスケジュールや国からの認可取得を前提に、国内外の生保事業や資産運用などさまざまな分野で連携を進めていく。例えば、当社の経営者向け保険商品のかんぽ生命での販売は順調に推移しているので、2017年度中にも新商品の追加を実現させたい。将来、かんぽ生命の商品を当社が販売することも視野に入れている」
--どのようにITを活用していくのか
「ヘルスケア領域とマーケティング領域、保険の引き受けや支払いに関する領域の重なる部分でITを活用する。保険の一連の手続きに関する事務作業にロボット技術を導入し、人間の作業量を限定的にしていくことで業務効率を引き上げることを検討している。商品面では、りそなグループと共同開発し昨年12月に発売した医療保険が好調だ。実年齢ではなく、健康年齢で保険料を設定した点が特徴で、ITを活用する力があるからこそ提供できる商品だ」
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【プロフィル】渡辺光一郎
わたなべ・こういちろう 東北大経卒。1976年第一生命保険入社。企画・調査本部長、専務執行役員などを経て、2010年から社長。16年10月から第一生命ホールディングス社長兼任。静岡県出身。
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