□MS&ADインシュアランスグループホールディングス社長・柄沢康喜さん(66)
■保険商品共通化でコスト削減見込む
--2017年の金融・保険ビジネスの展望は
「自動車保険は事故件数の減少で収益が改善傾向で、海外事業も想定の範囲で収斂(しゅうれん)している。16年9月中間決算も想定よりも上振れした。17年度は今の中期経営計画の最終年度になるが、極端なぶれがない限りは目標としているコア利益2200億円、株主資本利益率7.5%、(収益性指標の)コンバインドレシオ93%台については、ほぼ達成できる」
--傘下に特徴の異なる会社を置いて効率化と成長を目指す「機能別再編」の進展は
「今の中期経営計画で始めて、主として三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険で進めてきたが順調だ。市場シェアもグループとしてはしっかり上がった。効率化では4年間で物件費、人件費、事業費の削減を500億円としたが、600億円に目標を変えて取り組んでいる」
--自動ブレーキ搭載車で、各社の保険の目安となる参考純率が18年1月から9%引き下げられる
「自動ブレーキ搭載車が事故の減少に大きな効果があるのは事実。自動車の安全運転に関する技術がさらに進展し、事故が減少してくれば、社会的には非常に良いことだ。われわれもこれまでよりも廉価で保険を提供できれば、被害者保護も含めてお役に立てる。一方で、収益にどの程度影響を与えるかだが、新車から3年などに限られており、収益に負のインパクトにはならない。むしろ社会的な意義から歓迎すべきだ」