三越伊勢丹HD社長・大西洋さん(61)

2017成長への展望

 ■百貨店復活へ業態の独自性が重要に

 --トランプ効果で、円安・株高となっているが、今年の消費動向をどうみるか

 「ここ2~3年の傾向を分析すると、為替と株と消費はつながっているように見えるが、動きがあるのは富裕層だけだ。中間層の消費購買は厳しい」

 --消費者の節約志向が続いている

 「節約志向とは少し違うと思う。中間層は将来への不安で、お金の使い方が変わってきている。価値あるものにはお金を使うが、無駄なものは買わず、吟味している。魅力あるものを提供しないといけない」

 --百貨店ビジネスが厳しくなっているが

 「130兆円の小売市場のうち、百貨店全体の売上高が6兆円で5%を切っている。独自性のある業態にするのが重要だ。このまま人口が減って、売り上げは伸びなくなる。損益分岐点を下げるしかない。今のビジネスモデルを変えないと生き残れない」

 --地方4店舗のリストラを明らかにしたが

 「構造改革は全店舗が対象だ。リストラなので、地方だけでなく、首都圏でもあり得る。店舗の閉鎖は考えていないが、売り場面積の縮小や管理職ポストの削減を検討している。今年の春に具体案を発表する」

 --百貨店事業の依存率が売上高全体の8~9割と高いが

 「百貨店のビジネスモデルを立て直し、復活を目指しているが、業態リスクが高いので、飲食、旅行、カード、不動産などを伸ばす。あとは体験型の『コト』消費関連のサービスも増やす」

 --百貨店以外の新規事業を伸ばすには、自前で行うのには、限界があるのでは

 「中途社員を積極的に採用している。若い社員を他の業界にも出向させている。中国の越境EC(電子商取引)サイトの参入は、若手の中途女性社員が行った。こうした取り組みを積み重ねることで、会社を変えていきたい」

 --業界再編の可能性は

 「百貨店同士の再編は考えにくい。セブン&アイ・ホールディングスがエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングと資本業務提携したが、総合スーパー、コンビニ、百貨店の間では、あるかもしれない」

 --来年以降、主要店舗で正月三が日の休業を検討しているのか

 「社長就任時から提案してきたが、労使の問題や業績が悪く、なかなか実現は難しい。将来はそうしたいが、決定事項ではない」

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【プロフィル】大西洋

 おおにし・ひろし 慶大商卒。1979年伊勢丹(現三越伊勢丹)入社。営業本部立川店長、伊勢丹社長、三越取締役、三越伊勢丹ホールディングス取締役などを経て、2012年2月から現職。東京都出身。