ドタバタ劇は米社買収での内部通報で 「買収により改善進まず」と綱川社長も認める疑念

東芝社長会見詳報・上
会見で陳謝する東芝の綱川智社長=14日午後、東京都港区(古厩正樹撮影)

 平成28年4~12月期連結決算の開示を当日になって延期し、原子力事業を統括する志賀重範会長が辞任すると明らかにした東芝。これらの件に関し、14日午後6時半から東京・浜松町の本社39階で開かれた記者会見には、報道陣やアナリスト約500人があふれかえった。

 今後の事業のあり方をめぐって綱川智社長は、外部資本の導入による半導体(メモリ)事業の分社化に関し、「マジョリティ(出資比率50%超)の譲渡も含めた柔軟な対応を進める」と表明。先月27日の会見では「外部資本は20%未満、というのが基本的考え方」と話していたが、複数企業から出資オファーを受ける中、方針を変えたもようだ。

 この日の会見には、綱川社長のほか佐藤良二監査委員会委員長、平田政善代表執行役専務、畠沢守執行役常務の4人が出席。東芝側が約20分間の説明を行った後、質疑応答へと移った。

 綱川社長は会見の冒頭、決算発表を最大で3月14日まで延期する件に関し「多大なるご迷惑をおかけすることについて、心よりおわび申し上げます」と陳謝した。続いて佐藤監査委員長がその理由を説明した。

 具体的には、原子力事業子会社の米ウェスチングハウス(WH)による原子力サービス会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の買収に伴う取得価格配分手続きの過程において、「内部統制の不備」を示唆する内部通報が今年1月あったという。

 加えて、東芝とWHがそれぞれ起用した法律事務所を通じて本件の調査に乗り出したところ、WH幹部が「WH経営者による不適切なプレッシャーの存在」を懸念する指摘を行った。

 一連の問題が財務諸表に影響を及ぼす可能性も否定できないとして、さらなる調査を行うために決算開示を延期したという。

 この後、綱川社長が再び登壇し、平成28年度の業績見通しを説明。米原発事業の関連で発生する損失額が7125億円になったと発表した。この損失は4~12月期連結決算で処理する見通しで、これを受けた同期の連結最終損益は4999億円の赤字になるという。

 「S&W社の買収時には認識されていなかったコスト見積もりの必要性が判明した」

 「運転資本調整が年度内にできなかった」

 「買収によって見込んでいた作業効率の改善が進まなかった」

 綱川社長は、巨額損失の要因をこう指摘。今後の対策として、役員報酬のさらなる減額や、原子力事業を統括してきた志賀重範会長の辞任、原子力部門の社長直轄化を行うと説明した。