東芝、逆風直視せず拡大進めた判断裏目に 3社再編構想は現実味乏しく

 
会見のめどが立っていないことを集まった報道陣に説明する東芝関係者=14日午後、東京都港区(古厩正樹撮影)

 東芝が原発事業に絡む巨額損失を受けて昨年末時点で債務超過に転落した。東京電力福島第1原発事故後、厳しさを増した原発への風当たりを直視せず、拡大路線を突き進んだ判断が裏目に出た。原発事業の再編構想もささやかれるが、追加損失の恐れも抱えて現実味に乏しい。決算発表をめぐっては混乱も生じ、名門企業は迷走の度合いを深めている。

 「どうしたんだ」。証券マンや投資家らは14日正午を5分過ぎても東芝から情報開示がないことに首をかしげた。東芝は2016年4~12月期決算を、この日正午に発表すると予告していたが、10分、15分を過ぎても反応がない。異例の事態に東京証券取引所に上場する東芝株には売り注文が殺到。前日比で一時10%近く値を下げた。

 結局、東芝が決算発表の延期を正式に明らかにしたのは午後2時半になってから。その後、監査法人の承認が必要な決算発表とは別に東芝独自の業績見通しを出した。

 「綱川社長メッセージ映像の生中継は諸般の事情で延期します」。東芝社員にも14日正午すぎ、会社からメールが入った。昨年末に原発建設の巨額損失が判明して以降、社内でも将来に不安を覚える声が出始めていた。ある中堅社員は「ごたごた続きで経営陣への不信感が余計に強まった」と話した。

 東芝は06年に海外での原発事業に本格参入。米原子力大手のウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を買収したほか、中国やインドなど世界で数十基を受注する目標を立てた。

 11年の福島原発事故で世界的に原発規制が強化されたにもかかわらず、米国での原発建設への関与を強めた結果、設備費用や現場の人件費が想定より大幅に増え、今回の巨額損失につながった。

 WHが中国で手掛ける原発も建設の遅れが指摘され、米フロリダ州で受注し契約解除となった案件も費用分担をめぐって係争中となっている。成長を見込んだ海外の原発事業は散々な状況だ。

 日本は原子炉を手掛ける企業が東芝、日立製作所、三菱重工業の3社もある「原発メーカー大国」。東芝の不正会計が発覚した15年以降、3社の事業を統合する案が経済産業省を中心に浮上した。

 国内の新規建設が止まり、原発事業の環境は厳しい。日立の東原敏昭社長は「不採算な状況で成り立たない」と再編に前向きな発言をしたこともあったが、東芝の原発はリスクが高いとの認識が広がり、再編構想は急速に後退している。日本の原子力政策の一翼を担ってきた「聖域」事業の将来像は見えない。